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2011.08.28

「フィネスのあるこーひー」

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今朝起きたら、爽やかに晴れ上がり、秋の空気がいっぱいでした。今年は秋が長いと良いですね、果物も美味しそうです。今週は、酷い雨や風でジタバタしましたが…空気が入れ替わらないと季節も変わらないですから…仕方ありません。今も、これから日中は暑くなりそうな気配ですが…部屋を通り抜ける風は少し冷たさを感じさせて、とってもきもち良いです。

先日、いつもワイン会でご一緒していて、さかもとこーひーの常連さんでもあるKさんからご注文のメールで…「フィネスのある珈琲」…という言葉を頂きました。

「フィネス」って聞き慣れない言葉ですが、ワインで時々見聞きする言葉です。何と言ったらいいのか?ひと言では難しいらしいんですが、ネットで調べると…偉大なワインに対する最高の賛辞、傑出した優雅さ…なんて感じで、つかみ所が無いです。他には…透明感と余韻とか、味の究極のバランス、見事さ、繊細さ、上品さ、優雅さ、完成美…そんな言葉が出てきます。

19歳で飲食を仕事としてから…「美味しさ」ってなんだろう?…と、ずーっと追いかけてきました。それは、たぶんこの完成されたレベルの高い味わいを追いかけてきたんだと思います。

「美味しい」って言っても…国によっても、地方によっても違うし…ひとそれぞれの美味しさ、お好みもあるし…同じ人でも、その時々で感じ方が違うし…なんかつかみ所が無いんですよね。だから、逃げ道はもうそこらじゅうにありますし…「美味しさ」をもとめて仕事をしていても、手抜き妥協の罠だらけです。

でも…「美味しい」「不味い」は厳然としてありますし…味覚は自分が感じている感覚しか分かりませんし…仕事でなければ、自分が「美味しい」って感じれば良いんですが…仕事だと、お客様に美味しいって感じてもらうためのジタバタが常についてまわります。

特に、コーヒー、紅茶、お茶からお酒と、液体の美味しさは、これまた捉えどころが無くって…食べ物ですと、噛みごたえや触感がありますし、口の中に留まっている時間もありますから多少分かりやすいのですが…液体は、口の中をすーっと通り過ぎて、とっても頼りないんです、困ったものです。

二三日前、ケニアの焙煎について若い仲間と話していたんですが…そのケニアがとっても上手に焙けているんです…しかし、ロースティングポイントがほんのちょっと、1℃とか2℃とか深いんです。それを話すと…う~~ん、今でも美味しいですけど、浅くしたら、酸が強くならないですか?…と返ってきました。

で、直ぐに、僕が言ったロースティングポイントのケニアを送ってくれて…カッピングすると、その素晴らしい魅力がとってもよく伝わってきました。本人もすでに分かっていて、納得でしたが…最初のロースティングポイントのケニアから、こう変わるというのがイメージできないということです。まぁ、まだ経験すくないのに、それが分かったら、僕は腰抜かすしかありません。

(で、それはサンプルのカッピングで、その豆の酸の質とかキャラクターやボリューム、甘さとのバランス等々から、判断できて…質がそこそこでボリュームがあるとバランスが崩れてしまうけど…酸の質がとても良くて、とくに柔らかで…さらに甘さの質が良いと可能性がでてくる…そんな話しをしました。酸の質の判断はカッピングの基本ですが…甘さの質は話題に出ませんね。)

勿論、最初の焙煎でも、充分美味しいんですが…素材のポテンシャルが生かしきれていないんですね、ほんの1℃とか2℃で素晴らしい魅力を隠してしまうんです…それでも「美味しい」になってしまうんです。まぁ、日本のスペシャルティコーヒーのほとんどは、焙煎自体がまともにできていませんけど…それでも、本人は「美味しい」って思っているんです。

で、それは、自分にも跳ね返ってくるので…しかも、自分の味覚しか分からないんですから、自分の「美味しい」を常に疑うことも必要なんですね。

そんなこんなで…そんなこと面倒なんで…産地農園自慢、素材自慢、新鮮さ自慢レベルで思考停止したほうが楽なんでしょう。

おっと…それで…「フィネス」の感覚ですが…プロのデザイナーや写真家の人は、素人には分からない微妙なピントとか色のニュアンスを指摘しますね。うちの長男は美容師で、しかもカットをしないカラーリストなんですが…カラーの話しを聞いていると…化学的なアプローチと視覚の感覚的なアプローチが入り交じって、途中からなんだか分からない内容になってきます。でも、その仕上がりを見ると明らかに違ってるんです。その辺の微妙なブレが無くてピタッと決める感覚も「フィネス」に通じるのかなぁ?なんて思ってます。

こーひーでも、その辺がドンピシャに決まると…誰が飲んでも、素直に美味しいって感じるようになるんだろうなぁーと思いますね。勿論、その前に素材のクオリティが高いことが大前提になりますね。美味しさは人それぞれと言ってしまうと、何でもありですから…仕事ではなくなってしまいます。

さかもとこーひーが焙煎機を替えるとお知らせしてから…最近、特に男性の常連さんと新しい焙煎機の話しになります。同じ量を焙煎する大きさで、他の焙煎機の倍の重さがあって、その分蓄熱や断熱に優れているようですと説明しています。簡単に言うと…薄い鉄板と厚い鉄板で焼く肉やお好み焼きの違いって感じです。

薄いと焦げやすく、冷めやすいって感じですね。厚いと、温度よりも豊富な熱量を加えていくって感じでしょうか。その分、焙煎機を暖めるのも、冷ますのも時間がかかりますが…。で、そのような焙煎機に替えてどうしたいかっていうと、お客様からよく言われるのが…特にはじめての方…コーヒーの味はよく分からないけど、好きで…とか、通では無いんですが…そんな感じなんです。そういった、普通のコーヒー好きの方が香りや味わいの違いを意識しなくても、分かりやすくしたいんです。

これも「フィネス」に通じるかもしれません。因みに、新しい焙煎機が入るのは、年明けくらいの予定です。発注から時間がかかります。今は、カッピングしながら、これが焙煎機替わったら、どこがどう可能性あるのかイメージしています。

震災をきっかけにして、Twitterはじめています。こーひーの話しをメインにぽつぽつやってます。
http://twitter.com/sakamotocoffee

「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。


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