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2011.09.25

「一糸乱れぬアンサンブル」

20110925_photo

震災の後、さらに追い打ちをかけるような災害が続き萎縮してしまいます。今回の台風で何人ものお客様からご心配頂きましたが…家も店も無事でした。千葉は大きな山も川も無く、台風の直撃も少ないのですが…流石に今回の台風は前日の豪雨、当日の暴風と怖い思いをしました。被害の大きかった和歌山、名古屋、静岡の常連さんからご連絡があってホッとしました。

台風一過で、週末からは一気に秋の爽やかな空になりました。金曜日には、予約していた中津川のすやさんの「栗きんとん」と「栗納豆」が届きました。すやさんの「栗きんとん」と「栗納豆」…やっぱりすごいです。風雅、わびの美味しさと言いましょうか。

媚びた味がまったく無くって…特に「栗きんとん」は、栗を丸のまま食べるよりも、栗の味わいが真っ正面から押し寄せてきます。使っているのは栗と砂糖だけなんですけどね。商品の満足には…心理的なものと…機能的なものと…ありますが、見事に美味しさが気持ちまで届きます。

さっそく「栗きんとん」専用のブレンドを作ってみました。ブレンドに使ったのは「グアテマラ・アゾテァ」と「ベストオブパナマ・アルティエリ」…まず繊細な「栗きんとん」の味わいを邪魔しないこと…そしてこーひーが美味しくなること…で、イメージとおりに「栗きんとん」の味が消えない♪…柔らかな口当たりと甘さがうまくバランスとれました。お題が与えられれば…けっこうなんでもブレンドしちゃいますね。

僕の大好きなサックス奏者土岐英史さんのニューアルバム「6/6(シックス・シックス)」が10/5発売なんで、音楽雑誌にインタビューが色々とでています。今回は最近のレギュラーメンバーで、ベース、ドラム、ピアノにサックスが二人、トランペットが一人の6人編成です。

普段あまり多くを語らない土岐さんなんですが…サイドメンというのは枠からでないように演奏するわけですけど、僕はやりたい放題やってほしい。…音世界の人格がちゃんとしていれば、それでも絶対にまとまるんです。全員、我の強いヤツなのに、ステージではエゴが0になるのが目標だった。…と、語っていて、あぁ!いいなぁー♪と。

「我の強いヤツなのに、ステージではエゴが0」…この辺がどうしても気になってしまいます。

さらに、読み進めると…延々とソロを回して、誰が上手かったとかそんなつまらないことはどうでもよくて、全員でひとつの音楽を創り上げるということが大切。…ある人はソロを1分やって、ある人は10分やったけど、どちらも同じ価値で、全員がそれを同じ喜びとして分かち合う。…なぜなら、全員の音が繊細に関わり合っているから。…う~~ん、ご機嫌。

そして…3管の一糸乱れぬアンサンブルとか、そういうものではなくて、それぞれの個性が活きるように。…と、決めてました。

土岐さんのライブには、年に数回しか行けないのですが…40人キャパほどのジャズ倶楽部で聴いていると、この辺の感覚が本当によく感じられます。

「一糸乱れぬアンサンブル」をやろうとすればいつでもできる技術で…その先のひとつの音楽を創ろうとしているんでしょう。

技術は大切なんですけど…技術が目的になってしまっては台無しなんですね。技術はあくまでも手段ですから。

9/19(月)は、NHKFM山下達郎三昧の日で…お昼から夜11時近くまで延々と達郎三昧プログラムでした。夜になって本人が登場して、とってもご機嫌で普段話さないようなことまで喋り倒してました。

そんななか印象的だったのは…アイドルとかの歌の上手い下手の話題になり…音程とかリズム感を日本は言い過ぎだと…なによりも、感情表現とか切迫感がアイドル歌謡には大切なんだと…達郎は座付き作家のようにそのアイドルの魅力が一番輝くように曲作りをするんだと…この辺も要はその魅力のツボを見ているってことですね。勿論、音程とかリズム感が悪くて良いという話しではありません…。

そんなこんなで…むりやり味作りにこじつけると…目的はお客さんが美味しい!と感じるってことです。

日本の料理やお菓子はダマが無いとか、きれいに膨らんでいるとか、肌理が細かいとかにフォーカスすることが多いと感じています。特に、料理やお菓子の本とか教室の教えている事は…捉えづらい本質的な美味しさよりも、分かりやすい見た目重視の傾向を感じます。失敗しないとか、プロのような見た目…。

本来、肌理の細かい魅力もあれば、ざらついた魅力もあるはずなんです。柔らかい美味しさも、心地よい歯ごたえの美味しさも平等のはずなんです。基本的なスポンジケーキの美味しさは…決めの細かいしっとりとした美味しさもあるし…肌理の粗いざらっとした触感の美味しさもあって…それぞれを美味しさのイメージによって使い分ければ良いのですが…一般的には肌理の細やかなしっとりタイプばかりです。焼きについても…焦がさない魅力もあれば、絶妙にしっかりと焼いた魅力もあるはずなんです。

その辺、すやさんの栗きんとんは洗練しすぎないセンスを感じます。

スペシャルティコーヒーについては…素材のカッピングでは欠点よりも際立つ魅力を評価するというポジティブチェック(欠点は無いことが前提ですが…。)なのに、焙煎になるとネガティブチェックで腰の引けた焙煎ばかりが眼につくと感じています。

最近、若い人のスペシャルティコーヒーに触れることが増えているんですが…スペシャルティコーヒーはクリーンカップが大前提ですが…クリーンさに囚われて、結果としてクリーンさがでていないような印象を持っています。(まぁ、これはリードする先輩の責任が大きいでしょうが…。)

焦げるのを怖がって…浅めに焙いて、一見焦げの無いフレーバーが分かりやすい感じなんだけど…実は水分抜け甘くて、デベロップしていないだけで…少し冷めると、キレが悪く、滑らかさに欠けて、甘さも無い焙煎が気になります。まぁ、素材が良い分だけ少しは誤摩化せるんですけどね。(だから、素材自慢しかしないという皮肉な見方もできます。)

その焙煎で少しでも深く焙くと、焙煎の不味さが前面に出てしまいますから…浅く焙いているんじゃなくて、深くは焙けないので浅くしか焙けないのが現実でしょう。う~ん、なんか、最後はボヤキになってしまいました。

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「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。

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2011.09.19

「ベストオブパナマ・アルティエリ、ニカラグア・ラコパ、ベラ・ノッテ、マンデリン・ボナンドロク」

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*9/23(金・祝日)営業します。

残暑残暑の毎日ですが…月の輝きがきれいで、夜は気持ち良い風が吹き抜けるのが救いです。土曜日の夜はいつものワイン会で…今回はジャックセロスでスタートし、白はドメーヌ・ルロワのアリゴテで…赤はボルドーがテーマでサンテミリオンの'99が3種類…料理は富士幻豚の自家製のパンチェッタとスモークハムから白インゲンのカスレにロースト。
http://plaza.rakuten.co.jp/cinqchef5/diary/201109050000/

富士幻豚は、黒豚やイベリコ豚とは全く違ったキャラクターの魅力で…きれいで繊細…静かに激しい味わい?…素材のクオリティと魅力…それを手の内にしたシェフの技術と感性…すごい!美味しい♪とどんどん寡黙になりながら味わい…ズキズキと職人魂を刺激されてました、鳥肌もんでした。

素材を求め…そのポテンシャルを見極め…技術と感性のせめぎ合い…いや~刺激的で楽しいです。こういった刺激が一番のモチベーションアップになります。

デザートは栗のパイにマンジェリの生チョコ…こーひーは焙いたばかりの「ベストオブパナマ・アルティエリ」と…この生チョコにための「サンク・オ・ピエブレンド」。

ラズベリーが印象的で柔らかな口当たりの「ベストオブパナマ・アルティエリ」でクールダウンし(「ベストオブパナマ・アルティエリ」でクールダウンって、どんだけ贅沢なんだ…。)…さて生チョコとサンク・オ・ピエブレンドはどうかな?…だいぶ酔っていても伝わって来るマリアージュの魅力にほっとひと安心しました。(あぁ!こんなブレンドにしたんだっけ!って、感心?してました。)

そんなこんなで…今日は…ラズベリーのキャラクターと気品が素晴らしい「ベストオブパナマ・アルティエリ」…去年よりも又ステップアップした「ニカラグア・ラコパ」…秋の人気NO1「ベラ・ノッテ」…これしか注文しない常連さんがたくさんいる「マンデリン・ボナンドロク」の4種類をご紹介します、お楽しみください。

【ベストオブパナマ・アルティエリ】
今回の「ベストオブパナマ・アルティエリ」には…去年のパナマ・ベルリナ農園とは又ちょっと違ったパナマの魅力が楽しめます。まずは、パナマ共通の魅力で…なんと言っても、口当たりの柔らかさと繊細さに上品な甘さですね。優しいだけで無く、滑らかと共に、フルーティな甘さが素晴らしいですね。

最初に感じるキャラクターは…ラズベリーが印象的だと思います。そして、フローラルな感じから、甘いフルーツ感と味わいに移ってきます。透明感が素晴らしい気品さと円やかさって感じとか…透明感が際立つ滑らかで柔らかな口当たりって感じでしょうか。

そして、さらに冷めてくると…余韻のほのかなカラメルとチョコレートによりそうミント的な軽快な爽快さが感じられた時は…これにはニヤっとしながら…パナマの可能性を感じました。こういった味わいの変化があると愉しみがグッと深まりますね、お勧めです、お楽しみください。

2100円/250gパック(税込み)

【ニカラグア・ラコパ】
今年のセルヒオさんの「ニカラグア・ラコパ」です。そのマニアックと言いたくなるような栽培精選の徹底ぶりからくるきれいな味わい、華やかなキャラクターのこーひーです。ニカラグア・カサブランカ農園内の1400-1500mの特に高地エリア限定ロットです。

華やかなオレンジ系フローラルの魅力はそのままに…甘さの質とバランスが素晴らしくなっていて驚き…冷めてからのクリーミーな口当たりと甘さに華やかな印象が重なって、余韻をより愉しいものにしています。どなたにもお勧めできる華やかな香りと、バランスの良い味わいと甘さです。

去年農園を訪れた時の…朝の日射し、吹き抜ける風の気持ち良さ、触った土の感触を思い出しました。土壌の豊かさの大切さは勿論ですが…午前中の日当りや風の通り抜け具合が栽培には大切なんです。

もうすぐ、セルヒオさんがさかもとこーひーに来店される予定なので、この一年の取り組みを色々と聞いてみます。華やかな香りと円やかさが加わった味わいをお楽しみください。(プロのつぶやき530、プロのつぶやき531、プロのつぶやき532 に、セルヒオさんの農園を訪れた時の詳しいニカラグア訪問記を書いています。)

1575円/250gパック(税込み)

【ベラ・ノッテ】
お待たせしました…もうすっかりお馴染みになり…「ベラ・ノッテ」が発売されると秋を感じる常連さんが年々増えています…さかもとこーひーの季節感を代表するブレンドです。

秋向け《旬・瞬》ブレンドとして2001年の10月にデビューして、もう11年目。秋冬人気NO1ブレンド「ベラ・ノッテ」です。ディズニー・アニメ映画『わんわん物語(Lady & The Tramp)』の挿入歌『Bella Notte』(美しい夜)からネーミングしました。

1993年発売の達郎の「シーズンズ・グリーティングス」というアルバムの2曲目で…This is the night,it's a beautiful night~…ではじまるきれいな歌詞とメロディで、子供の頃から馴染んでいたこの「Bella Notte」をますます好きになり、いつかベラ・ノッテというブレンドを作りたいと思うようになったのでした。

秋から冬に向けてどんどん空気が澄んでいく奇麗な夜、輝きをます星をイメージしました。ベースになるのは「グアテマラ」と「ケニア」です。柔らかな口当たり、きれいな余韻、深い甘さと味わい、円やかな甘く良い感じの苦味…香りは、柑橘系、フローラル、チョコレート、奇麗で輝くような爽やかさが基本です。深煎りのブレンドですが、苦味よりも円やかさきれいさ味わいの深みの魅力をイメージしています。

初秋から晩秋…初冬から厳冬…グアテマラ、ケニア、エルサルバドルを使って微妙にブレンドを変えていきます。季節の人気ブレンドになった「ベラ・ノッテ」をこれから約半年…お楽しみください。リッチな味わいのパイや勿論チョコレート系のお菓子、フルーツたっぷりのお菓子、シュークリームやエクレアにもご機嫌な組み合わせになると思います。

1575円/250gパック(税込み)

【マンデリン・ボナンドロク】
この「マンデリン・ボナンドロク」しか注文しない常連さんがたくさんいらっしゃいまして…「選べるSセット」にずーっと入れています。ちょっと前から新豆に変わっていたのですが、お知らせを忘れていました、すみません。

10年ちょっと前にはじめてアメリカに行き、色々と回ったスペシャルティコーヒーの店で驚いたのが…マンデリンのきれいな味わいとスパイシーなキャラクターでした。日本のマンデリンは、マンデリンくささといわれるようなタイプばかりだったので、こんなマンデリン使いたいなぁーと思ったものです。その後、日本には入っていないタイプのマンデリンを使えるようになり、ずーっと使っていました。

その後、そのルートのマンデリンに飽き足らなくなり…さらに魅力的なマンデリンを探して来たのですが…知り合いのバイヤーの方が紹介してくれたのが、この「マンデリン・ボナンドロク」です、そして新しいクロップになりました。ボナンドロクという小さな村に選別の指導に入って…徹底した選別による素晴らしいマンデリンだと思います。

クオリティの基本となる…味わいのきれいさや、スパイシーさ、円やかなマウスフィールは勿論のこと…そこに繊細さが際立っていると思います。クリーミーでシルキーなマウスフィールがご機嫌です。そこに、ハーブなキャラクターやスパイシーさが際立って…ほのかなフローラルやチョコレートな感じもあって、華やかさに繋がっていると思います。冷めてからの心地よく円やかな苦味は他に無い魅力でしょう。

マンデリンはお好みが分かれるので…「《旬・瞬》カフェCセット」には入れず…いつでも「選べるSセット」でご注文頂けるようにしています、お楽しみください。

1575円/250gパック(税込み)

震災をきっかけにして、Twitterはじめています。こーひーの話しをメインにぽつぽつやってます。
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2011.09.14

「コーヒービジネスを考える(27)」

「コーヒービジネスを考える(27)」

前回は、
直接販売の個人店で、
不景気、震災、原発等の影響が大きい店は、
直接販売の意味が分かっていない、というお話しでした。

まぁ、喫茶店カフェもお客様と直接接しますから、
直接販売と言えますが、

この場合、少し違ってきます。

同じ飲食でも、
ある程度客単価の高い店と客単価の低い店でも
違ってきます。

食事に2時間3時間かかるスタイルの店だと、
お客様とのコミュニケーションの質が違いますよね。

いや、カフェでも常連さんとは密接にコミュニケーション
とれているという店も多いと思います。

僕が昔やっていた紅茶の店テ・カーマリーでも、
常連さんととっても蜜でした。

でも、ちょっと違うんですよね。

今日はこの辺で…。

一年程前に書いたブログをご紹介します。
スペシャルティコーヒー・スモールビジネスマーケティング


さかもとこーひーのHPのバックナンバーから、
「独立を目指す君へ」
でも、色々と書いています。

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2011.09.11

「味が強い野菜」

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9.11から10年…3.11から半年…さらに、大震災、原発に追い打ちをかけたこのたびの台風の被害の大きさに身をすくめています。被災した皆様に、心よりお見舞い申し上げます。新聞、雑誌、TV、ラジオとメディアの9.11&3.11特集に触れる度に…便利さと豊かさについて考えさせられます。しかし、山本夏彦翁の言葉のように…無かった昔には戻れないのですが、必要な便利さと同時に、不便さを楽しむ豊かさを考えます。

この一週間は休み無しで動きまくっていましたので…流石に疲れて、9時10時に寝落ちし、起きたら8時半、爆睡でした。日月で新しい焙煎機が入った友人の店に行き…二日間で焙煎工程の規準作りから、今販売している商品の最終的なロースティングポイントまで決めて、一気に新しい焙煎機での営業ができるようにしつつ…その合間にちょっと抜け出して…新宿での山下達郎 「Joy1.5~THE MOVIE」に駆けつけ…映画館での大きな映像に素晴らしい音…となりの座席にはサポートメンバーのミュージシャンの面々…さらに、松たか子さんがすぐそこで観ていて…その地味な姿と上品な美しさに驚きました。(ご主人のギタリスト佐橋さんとの仲の良さが微笑ましかったですね。)

金曜には…多くの経営者を取材し、その独自の経営方法をレポートにしている知人が…何故か僕を取材に来て…午後は営業中の店を見ながら、夜は飲みながら、翌日開店前に朝いちで来て焙煎を見ながらのインタビューで…かなりエネルギー使いました。こんな自営レベルの小さな商いなのに…今の逆風の中、やりたくない事を一切せず、安売りもセールしないで、急成長しない代わりに売り上げが落ちることもなく、のんびり楽しそうに仕事しているところに興味を持ったようです。

僕の貧乏自慢はいくらでもありますが…19で喫茶の道に入ってから…給料はほんとに安い業界ですし…独立してからも、好き勝手な商売してつぶさないのがやっとの状態が長く続き…そこから、いくら売り上げが上がってもやりたくない事は一切しないで、それでもなんとか家族を養えるようになりたいと…それなりに経営や商売を学んできましたが…会社を拡大成長するための経営やマーケティングでは無くって…好きなことをして食べていくための経営やマーケティングってところが興味深かったようです。職人で頑張って、素晴らしい腕があっても、時代に合わなくなり、苦労している店や会社がありますから…難しい時代です。

そんなこんなで…二三日前に…プロのつぶやき378「フェラーリと鉄瓶」(2007/04/08)に書いた奥山清行さんの話しをネットで読みました。 http://gigazine.net/news/20110908_moonshot_design_cedec2011/

最初から最後まで刺激的で興味深い内容だったのですが…

「日本とイタリアを比較して、面白いことに気がつきました。皆さんこれを読まれて、個人力の日本、団体力のイタリアというタイトルを見ると、「逆じゃないの?」「個人力のイタリアで団体力の日本じゃないの?」と思うかもしれませんけれど、イタリアというのは実は全く逆でして、イタリアというのは実はご存じのようにワールドカップとか、それからいろんな、例えばフェラーリのようなブランド企業をゼロから作り上げたりとか、その陰にある力というのは実はローマ時代から伝わる、いわゆる民主主義の元を作った彼らの団体力なのです。イタリア人の個人個人も非常に個性のある人たちが多いですけれども、その何というか、味が強い野菜が集まってもっと面白い料理ができるように、イタリアは非常にその団体で行動をするというのが僕が想像していたよりもはるかに得意でした。」

ここに、ほぉー♪っと感心しました。

「味が強い野菜が集まってもっと面白い料理ができる」って良いですね。

カップオブエクセレンスをはじめ…スペシャルティコーヒーのトップ中のトップの豆は、その素晴らしいクオリティと個性が魅力的なので…基本、シングルオリジンで愉しみ…ブレンドには向かないというのが業界で多い考え方なんですが…僕はそういった考えは…豆のポテンシャルに負けていると思っているのです。素材に振り回されているとも言えますね。或は、カップオブエクセレンスの豆を使えば、どうブレンドしても美味しくなると言っていた情けない同業者も知っています。

料理でもコーヒーでも、素材を見極め、素材のポテンシャルを生かし、お客様のお好みに合うよう調理することに職人の技術やセンスの勝負だと思ってますので…「味が強い野菜が集まってもっと面白い料理ができる」には共感しました。シングルオリジンの愉しみもありますし…トップスペシャルティからミディアムスペシャルティ等、それぞれの良さを見極めてのブレンドの愉しみもあると思ってます。

後、面白かったのが…「世界中の自動車の模型っていうのは粘土で作るんです。粘土っていうのは盛ったり足したりできるので、彫刻ではなく彫塑と言われるものなんですね。足すことができる。ところがイタリアだけは不思議と、ちょうど木のような、エポウッドと呼ばれるエポキシの木ですね。それを使うんですけれど、それをノミとカンナとノコギリとサンドペーパーで作るんです。」

「なんでそんなめんどくさいことするのかなっていうと、これは堅い素材でものを作るとできあがるものも実は堅く見える。粘土みたいな柔らかい素材でものを作るとできあがるものも実は非常に柔らかく見える。」

「外に出て走っている日本車のデザインを見てもらって、それに粘土の色を塗ったらどうなるか想像してみてください。もうそのまま粘土に見えます。それは実は粘土で作ってるからです。粘土に見えるどろどろのデザインが日本車になっていて、世界中で評価されていない。それに対してイタリアっていうのは、あまり余計なことできないです。木みたいなもんだから、キャラクターラインなんてこんなもんだから。せいぜいこのくらいの大きさですね。もう小さなこんな面の表情なんてとても出せない。でも全体のたたずまいとか、プロポーションとか、かたまりとか、そういうことがよく表現できるのがイタリアのデザイン。それはなぜかっていうと、大理石を削っていたミケランジェロとかダヴィンチの頃からの職人技というのがずっと今の工業界で生きていて、それがこの車作りに生きていることに気付いた時に、ものすごく感動しました。」

このお話しには、モノを作るとかデザインする過程の怖さを感じ、同時に感動しました。作りやすさ、便利さ、効率的な限界を感じます。使い人にとっての魅力的なデザインをするが目的なのに…早く効率的な製造という手段が目的になってしまう落とし穴。政治にも官僚にも経営にも…常に感じる落とし穴…手段の目的化の恐ろしさ…効率的と効果的の違いを確認しました。

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2011.09.07

「コーヒービジネスを考える(26)」

「コーヒービジネスを考える(26)」

前回は、
直接販売と間接販売,
というお話しでした。

長引く不景気に、
震災、原発問題が追い打ちをかけて、
かなり厳しい情報が入ってきますが、

もう少し具体的な話しでは、
個人店の自家焙煎店で、
震災後…20%、30%落ちている店が
少なからずあるということです。

酷い状況だと、
50%ダウンもあると聞きます。

そこまで厳しいとは知りませんでした。

直接販売の個人店で、
そういった影響を受けているということは、

直接販売の意味が分かっていないと
いうことなんだと思います。

たんなる販売店、小売店になってしまっているのでしょうか?

間接販売では出来ない
直接販売の強みがあると思いますが、

そんなこと考えていないんでしょう。

自己満足、自己中の専門店なんでしょうか。

セブンイレブンの鈴木さんが強調しているお話しで、

「お客様の為」
は絶対ダメで、

「お客様の立場になって」
でないといけない、

そんな意味合いがあります。

深い話しです。

それを理解するには、
その「お客様」が誰なのか?
を、明確にする必要があります。

今日はこの辺で…。

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2011.09.04

「職人でいる覚悟」

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近所で一番お気に入りだったフランス菓子屋さんが8月いっぱいで閉店してしまいました。さかもとこーひーのおゆみ野店開店の少し前に開店していたので、とっても親近感がありました。この辺は、ケーキ屋さんがたくさんありますが…お子さん向けのお店が多い中、そのお店はきちんとしたフランス菓子で(代官山のイルプルーのスタイルです。)さかもとこーひーの常連さんにもファンが多く、あのケーキ食べた?って話題になったりしたものでした。そのお店のスタッフさんもさかもとこーひーに顔をだしてくれました。

で、最終日の午後最後のケーキを買いに行ったら…ケースの中はすかすか、焼き菓子もゼロ。後で聞いたら、朝行列ができていたそうです。僕の番になったら…あるのはシブーストとシフォンケーキがふたつずつ、それにキッシュがひとつで…全部買ってきました。

店に戻り…みんなでお茶しましたが…なんと、そのシブーストが桃のシブーストだったのです。桃のシブーストなんて聞いたことがありませんでした。20年以上前に、その頃は代々木上原にあったイルプルーで、りんごやオレンジのシブーストを初体験して以来、大のお気に入りのひとつになっています。

う~~ん、桃のシブーストってどうなの?…シブーストにはちょっとうるさいよ~!…で、ひとくちふたくち…びっくり♪…シブーストの豊かで切れのよいクリーム(ここがポイントなんです。)としっかり焼いたタルト生地が桃の妖しげな魅力を桃だけの時よりもぐっと引き立てていたんです。素晴らしい。この感覚頂きです。勉強になりました。このお菓子に合うブレンドもイメージしました。でも、もう食べられないんですね。

ブレンドと言えば…サンク・オ・ピエのシェフから新しいコース向けのブレンドの注文がきました。「富士幻豚のコース…とろける!富士幻豚の自家製パンチェッタと赤身が美味しい富士幻豚もも肉の自家製スモークハムのサラダ仕立て…富士幻豚と白インゲンの小さなカスレ仕立て、フォアグラ添え…富士幻豚の背肉の低温長時間ロースト…ヴァローナ社、グランクリュ、マンジャリの生チョコ、小さなシェフ風モンブラン、自家菜園のブルーベリーのアイスクリーム」となっています。

まぁ「ヴァローナ社、グランクリュ、マンジャリの生チョコ」は8月にこーひー仲間とランチした時に頂いていますので…かなりイメージしやすいです。で、ブレンドして、発送し…そのブレンドをみんなで淹れてお茶したら…スタッフのKさんが…「このブレンド、ユニティ2011みたいだけど、違いますねー。」…さすが、さかもとこーひーのお客様になって10年、スタッフになって4年のKさん、今毎日ユニティ2011を家で飲んでいるので分かりやすいって言ってました。

そう…「ユニティ2011」はグアテマラ・アゾテァ、ケニア・カングヌ、コロンビアCOEパロセコのブレンドで…「サンク・オ・ピエブレンド」はグアテマラ・アゾテァ、ケニア・カングヌ、コスタリカ・ドンマヨのブレンドなんです。勿論、割合は違いますけどね。コロンビアCOEパロセコをコスタリカ・ドンマヨに替えて…円やかな口当たりときれいな味わいはそのままに…マンジャリの生チョコのまるでブランデーやコニャック、リキュールが入っているかのような味わいや香りとバランスを取ろうとイメージしたのです。後は、9月のワイン会やランチで実際に体験するだけです、楽しみ♪

そんなサンク・オ・ピエのシェフがブログhttp://plaza.rakuten.co.jp/cinqchef5/diary/201108290000/でさかもとこーひーに触れながら、職人仕事について書いています。お互い独学で、似た者同士の職人なんで、いつも話しが噛み合い弾みます。コーヒー業界にはこのような話しをできる人がなかなかいないんです。

そんなこんなで…まくらが長くなりましたが…やっとテーマの「職人でいる覚悟」です。今、9/3(土)なんですが…明日9/4(日)は山下達郎のアルバム「Ray Of Hope」発売記念シアターイベント「Joy1.5~THE MOVIE」に当選して行ってくるんです。頑固にDVDを発売しないので、映像で観られるのはほんと希有です。(ファンクラブイベントで1回だけですね。)

まぁ、それはそれとして…朝日新聞 仕事力 「山下達郎が語る仕事 職人でいる覚悟」 http://www.asakyu.com/column/の内容が職人話しとしてなかなか良いのです。内容は折に触れて言っていることですが、掲載欄が求人情報のページなので、4回連載でまとまった内容になっています。

「何のために音楽をやるのか、表現者としてどんな音楽活動をしていくのか。僕はそうした自分に対する問いかけを常にしてきました。功名のためとか、金もうけの手段として音楽を選んだわけではないがゆえに、自分の表現の必然性を自分なりに考えて生きてきたのです。」

この姿勢が好きなんです。たまたま歌が上手で、それを成り上がりや金もうけの手段としている人にはちょっと違和感があります。それが演歌だったり、ビジュアル系ロックだったり、フォークだったり、なんでも良いんですが…それは時代に合わせているだけで…結局は金もうけがしたいだけって人いますよね。(声が大きければ政治家になり、野心が大きければ事業家になり、勉強ができれば高級官僚になり…手段にするのが気になるんです。)

昔、達郎が…純粋に音楽が好きなロックやフォーク少年は…クオリティには関係無くみんな消えて、残ったのは声が大きい人ばかり…たまたま僕は理屈っぽかったので、音楽メディアに取り上げられたのがラッキーだった…そんなこと言ってました。無口なロック少年では、雑誌は記事にできないので、雑誌商売にならないんですね、難しいものですが、それが現実でしょう。

「新人バンドなどがよく説得される言葉が「今だけ、ちょっと妥協しろよ」「売れたら好きなことができるから」。でもそれはうそです。自分の信じることを貫いてブレークスルーしなかったら、そこから先も絶対にやりたいことはできない。やりたくないことをやらされて売れたって意味がない。そういった音楽的信念、矜持(きょうじ)を保つ強さがないとプロミュージシャンは長くやっていけないのです。」

これも、深く頷きます。ビーンズショップでも、自分の好きなコーヒーだけ売っていては商売になりません…飲むのはお客様であって自分では無いですから。しかし、売る為に妥協しては、嘘になります。プロとして幅広い嗜好を持ちながら…お客様のお好みと摺り合わせることの繰り返しが大切だと思います。売れれば何でもOKならば…スペシャルティコーヒーは出来ないですね。妥協して量を売ったら、その量にしばられて、理想から遠ざかってしまいます。

頑固?に妥協しない仕事をしている友人の話しですが…会社勤めをしていた時に…上司から「そんな理想言っていたら食べられないだよ!」と言われ…「じゃぁ、その現実で食べられているんですか?」と言ったと聞きました。実際、妥協していても利益出ていなかったそうです。その友人は、独立して頑張っています…。

「作り手を目指すといっても、ロックンロールの場合、ギターコードを三つ知っていれば曲が作れてしまう。でもその程度では100曲は書けません。自分の魂の叫びがいくら強くても、すぐに限界が来るのは冷徹な事実です。音楽表現を長く続けていくためには、継続的な訓練と学習が必要なのです。」

そういうことですね。この10年で、日本のスペシャルティコーヒー業界は…素晴らしい素材が流通し、カッピングスキルを学べるし、世界の情報も飛び交っています。しかし、スペシャルティコーヒーに興味を持った位では、長く続けることはできません。ましてや、この10年、焙煎やブレンド、マーケティングのノウハウは未熟なままです。継続的な訓練と学習が必要なのです。

「夢は必ずかなう」という言葉が独り歩きしている時代ですが、僕は「夢はかなわない確率のほうがずっと高い」と思う人間です。ですから、懸命に努力し、その結果夢がかなわなかった時にはどうするのか、それをも想定して仕事をするべきではないか。「夢」は魅力的で力があるけれど、あくまで結果であって、夢を最初から暴走させてはいけないのです。」

これは、少し前に書いた曾野綾子さんの言葉と重なりますね。

そんなこんなで…シアターイベントの他はこの日月、泊まりがけで焙煎のアドバイスに行ってきます。素材とカッピングスキルが向上した今、焙煎とブレンド、マーケティングに悩んでいる人と知り合うことが多いので…考え方の相性が良い人にアドバイスする機会が増えてきました。師匠を持たなかったので、いつも前しか見てきませんでしたが…いつの間にか、そんな立場になったんだと実感しています。

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2011.09.02

「コーヒービジネスを考える(25)」

「コーヒービジネスを考える(25)」

ちょっと最近話しがさんばらばんになってきたので、
小休止。

9月になって、

震災後から、
電気が不安定な中での7月8月の業界が
どうだったのか?

あちこちから情報が入って来ています。

かなり厳しい会社、
けっこう安定している会社と、
あるようです。

さかもとこーひーは、
7月は地味で厳しく、
8月はここ数年で一番と言いますか、
8月とは思えない忙しさでした。

何故だか分かりません。
有り難いことです。

元々他のビーンズショップに比べて、
8月の落ち込みが少なかったんですが…
それにしても…。

そんなこんなで、
こういった時に、
僕は…

直接販売と
間接販売に
分けて考えます。

成長期には、
間接販売で、
問屋や代理店と使った方が、
成長拡大のスピードアップをできます。

衰退期、成熟期には、
じっくりと直接販売のほうが、
お客様とのコミュニケーションをきちんと出来ますので、
安定することができます。

特に、スペシャルティコーヒーは、
その際立つ魅力、
コモデティやプレミアムコーヒーには無い魅力、
お客様が経験したことの無い魅力を、

伝え、感じてもらいたいので、
丁寧なコミュニケーションが大切だと思います。

すると、直接販売で、急成長を目指さない個人店が
向いているんだと感じています。

今日はこの辺で…。

一年程前に書いたブログをご紹介します。
スペシャルティコーヒー・スモールビジネスマーケティング


さかもとこーひーのHPのバックナンバーから、
「独立を目指す君へ」
でも、色々と書いています。

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