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2011.09.11

「味が強い野菜」

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9.11から10年…3.11から半年…さらに、大震災、原発に追い打ちをかけたこのたびの台風の被害の大きさに身をすくめています。被災した皆様に、心よりお見舞い申し上げます。新聞、雑誌、TV、ラジオとメディアの9.11&3.11特集に触れる度に…便利さと豊かさについて考えさせられます。しかし、山本夏彦翁の言葉のように…無かった昔には戻れないのですが、必要な便利さと同時に、不便さを楽しむ豊かさを考えます。

この一週間は休み無しで動きまくっていましたので…流石に疲れて、9時10時に寝落ちし、起きたら8時半、爆睡でした。日月で新しい焙煎機が入った友人の店に行き…二日間で焙煎工程の規準作りから、今販売している商品の最終的なロースティングポイントまで決めて、一気に新しい焙煎機での営業ができるようにしつつ…その合間にちょっと抜け出して…新宿での山下達郎 「Joy1.5~THE MOVIE」に駆けつけ…映画館での大きな映像に素晴らしい音…となりの座席にはサポートメンバーのミュージシャンの面々…さらに、松たか子さんがすぐそこで観ていて…その地味な姿と上品な美しさに驚きました。(ご主人のギタリスト佐橋さんとの仲の良さが微笑ましかったですね。)

金曜には…多くの経営者を取材し、その独自の経営方法をレポートにしている知人が…何故か僕を取材に来て…午後は営業中の店を見ながら、夜は飲みながら、翌日開店前に朝いちで来て焙煎を見ながらのインタビューで…かなりエネルギー使いました。こんな自営レベルの小さな商いなのに…今の逆風の中、やりたくない事を一切せず、安売りもセールしないで、急成長しない代わりに売り上げが落ちることもなく、のんびり楽しそうに仕事しているところに興味を持ったようです。

僕の貧乏自慢はいくらでもありますが…19で喫茶の道に入ってから…給料はほんとに安い業界ですし…独立してからも、好き勝手な商売してつぶさないのがやっとの状態が長く続き…そこから、いくら売り上げが上がってもやりたくない事は一切しないで、それでもなんとか家族を養えるようになりたいと…それなりに経営や商売を学んできましたが…会社を拡大成長するための経営やマーケティングでは無くって…好きなことをして食べていくための経営やマーケティングってところが興味深かったようです。職人で頑張って、素晴らしい腕があっても、時代に合わなくなり、苦労している店や会社がありますから…難しい時代です。

そんなこんなで…二三日前に…プロのつぶやき378「フェラーリと鉄瓶」(2007/04/08)に書いた奥山清行さんの話しをネットで読みました。 http://gigazine.net/news/20110908_moonshot_design_cedec2011/

最初から最後まで刺激的で興味深い内容だったのですが…

「日本とイタリアを比較して、面白いことに気がつきました。皆さんこれを読まれて、個人力の日本、団体力のイタリアというタイトルを見ると、「逆じゃないの?」「個人力のイタリアで団体力の日本じゃないの?」と思うかもしれませんけれど、イタリアというのは実は全く逆でして、イタリアというのは実はご存じのようにワールドカップとか、それからいろんな、例えばフェラーリのようなブランド企業をゼロから作り上げたりとか、その陰にある力というのは実はローマ時代から伝わる、いわゆる民主主義の元を作った彼らの団体力なのです。イタリア人の個人個人も非常に個性のある人たちが多いですけれども、その何というか、味が強い野菜が集まってもっと面白い料理ができるように、イタリアは非常にその団体で行動をするというのが僕が想像していたよりもはるかに得意でした。」

ここに、ほぉー♪っと感心しました。

「味が強い野菜が集まってもっと面白い料理ができる」って良いですね。

カップオブエクセレンスをはじめ…スペシャルティコーヒーのトップ中のトップの豆は、その素晴らしいクオリティと個性が魅力的なので…基本、シングルオリジンで愉しみ…ブレンドには向かないというのが業界で多い考え方なんですが…僕はそういった考えは…豆のポテンシャルに負けていると思っているのです。素材に振り回されているとも言えますね。或は、カップオブエクセレンスの豆を使えば、どうブレンドしても美味しくなると言っていた情けない同業者も知っています。

料理でもコーヒーでも、素材を見極め、素材のポテンシャルを生かし、お客様のお好みに合うよう調理することに職人の技術やセンスの勝負だと思ってますので…「味が強い野菜が集まってもっと面白い料理ができる」には共感しました。シングルオリジンの愉しみもありますし…トップスペシャルティからミディアムスペシャルティ等、それぞれの良さを見極めてのブレンドの愉しみもあると思ってます。

後、面白かったのが…「世界中の自動車の模型っていうのは粘土で作るんです。粘土っていうのは盛ったり足したりできるので、彫刻ではなく彫塑と言われるものなんですね。足すことができる。ところがイタリアだけは不思議と、ちょうど木のような、エポウッドと呼ばれるエポキシの木ですね。それを使うんですけれど、それをノミとカンナとノコギリとサンドペーパーで作るんです。」

「なんでそんなめんどくさいことするのかなっていうと、これは堅い素材でものを作るとできあがるものも実は堅く見える。粘土みたいな柔らかい素材でものを作るとできあがるものも実は非常に柔らかく見える。」

「外に出て走っている日本車のデザインを見てもらって、それに粘土の色を塗ったらどうなるか想像してみてください。もうそのまま粘土に見えます。それは実は粘土で作ってるからです。粘土に見えるどろどろのデザインが日本車になっていて、世界中で評価されていない。それに対してイタリアっていうのは、あまり余計なことできないです。木みたいなもんだから、キャラクターラインなんてこんなもんだから。せいぜいこのくらいの大きさですね。もう小さなこんな面の表情なんてとても出せない。でも全体のたたずまいとか、プロポーションとか、かたまりとか、そういうことがよく表現できるのがイタリアのデザイン。それはなぜかっていうと、大理石を削っていたミケランジェロとかダヴィンチの頃からの職人技というのがずっと今の工業界で生きていて、それがこの車作りに生きていることに気付いた時に、ものすごく感動しました。」

このお話しには、モノを作るとかデザインする過程の怖さを感じ、同時に感動しました。作りやすさ、便利さ、効率的な限界を感じます。使い人にとっての魅力的なデザインをするが目的なのに…早く効率的な製造という手段が目的になってしまう落とし穴。政治にも官僚にも経営にも…常に感じる落とし穴…手段の目的化の恐ろしさ…効率的と効果的の違いを確認しました。

震災をきっかけにして、Twitterはじめています。こーひーの話しをメインにぽつぽつやってます。
http://twitter.com/sakamotocoffee

「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。

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