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2012.09.30

プロのつぶやき658「みんなとあなた」

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*日曜日臨時休業のお知らせです。
10/14(日)出張の為…10/21(日)法事の為、臨時休業いたします。ご不便おかけしますがよろしくお願いします。

気がつけば、9月も終わりです。日中はまだまだ暑さが残っていますが…毎朝の焙煎の温度設定は確実に秋になっています。同じ温度で生豆を投入すると…一旦温度が下がり、ボトムと言いますが、そこから又温度上昇していきます。そのボトムの温度を厳密にコントロールするんですが…そんなところに季節を感じています。(そうそう、ボトムを一定にする為に、投入温度を上げていきます。)

先日…友人が出張の際ホテルに置いてあったドリップバックを2種類送ってくれました。これが、世間のドリップバッグだよ!ということと、ビジネスホテルのフロントや部屋にドリップバッグが置いてあることが増えていることを知らせてくれました。

で、さっそくカッピングしました。ひとくち目から、ざらついた味わいと、強烈な渋みで20分経っても舌のしびれがとれません。パッケージは立派に印刷されているんですが…。で、袋の裏を見ると…7gと8g。生産国はベトナム、ブラジル、コロンビア。生豆相場が高い中、限界まで仕入れを抑えているのが、その汚れた味わいから伝わってきます。(20分後にお腹痛くなりました。)

マクドナルドがファーストフードでも真面目にコーヒーの魅力アップに取り組んでいるのに…コーヒー業界は相場が高騰しているからと、生豆の質を落とし原価を抑えることに懸命なんですね。これは、輸入統計見ると事実が数字になっています。

さかもとこーひーがドリップバッグを作るきっかけになったのは…何件かの昔の知り合いの店のドリップバッグからその焙煎の欠点が感じられたことだったんです。こんなにきれいに焙煎の欠点が伝わってくるんなら、きちんとした焙煎ならその魅力が伝わるだろうと思ったんです。

でも、その何件かのドリップバッグは生豆のクオリティは良いものですから…今思うと、いつまでも舌のしびれが取れなかったあの汚れた味わいのドリップバッグよりはかなり飲みやすいものなんですね。(でも、売値が高いものですから、許されるものでは無いと思いますが…。)

そんなこんなで…いつも色々と教わることが多い…日比さんのTwitterで、以下のようなツイートがありました。

「TBSラジオ永六輔の番組でゲストにきていた大橋巨泉さん マイケルジャクソンの曲を好んで聴かないと。。その理由がボリショイサーカスのような曲芸を見ているよう 彼の歌は「みんな」に向かってのメッセージ しかし僕は「あなた」という個に対しての歌が好きだ ものすごく納得」

なるほど。

「テレビ番組がつまらないのも 誰だか分からない「みんな」に対して作られているから ラジオの魅力は「あなた」 荒井由美は大好きだったけど 松任谷由実になってからの歌は、どれも心に残らないのも 理由は大橋巨泉がのべた通り 「あなた」から「みんな」へのメッセージに変わってしまったから」

共感します。

「僕とカミさんは 広告代理店の意味する「マス」の属性には入らない 「マス」の反対「個性」で生きているから だから 僕は 僕ら(僕とカミさん)に「共感」してくれる人々を相手のビジネスをしている それ以上も以下もないです」

同じですね、昔からですが…年とともに流行っているものから遠ざかっていきます。でも、楽しみはいっぱいです。

「「店で提供している料理も 「みんな」ではなく 「あなた」へ を 基本としている 同じメニューでも お客様一人ひとりの個性を、出来る限り感じて 多少のアレンジをして、お出ししている」

さかもとこーひーは、通販のお客様は目の前にいないのですが…それでも、メールや電話でのコミュニケーションは他の通販よりはかなり多いと思います。ご注文頂いて、その返信は100%僕自身です。ご注文の入力もほとんどが僕自身で、後はかみさんに多少手伝ってもらっています。これは、お客様ひとりひとりを感じるためです。

「だから うちの料理は 「流行」とは 一番無縁なのではないだろうか 山下達郎、竹内まりや、大滝詠一の世界だろうか 一貫して僕の世界観で作る」

達郎がドームや武道館でコンサートしないのも同じことですね。1500-2000人規模のホールでコンサートをする。NHKホール3500人2日間満員にできるミュージシャンは、武道館1日でやってしまう。そのほうが手間かからず、儲けやすいかららしい。

「「あなた」から「みんな」に変化してしまった スペシャルティコーヒー界隈のケースもそうだけど その変化は こだわりの食材と同様に 単なる「記号」と化しているからなのだ そこに「想い」は存在していない」

スペシャルティコーヒーの話しまで出てきました。スペシャルティコーヒーは本来「みんな」に向けたコモデティコーヒー(世間大多数の一般的なコーヒー)に対してのアンチテーゼからスタートしたはずなんだけど。

「田舎の活性化=生き残る ために 行政は 町おこし や 特産品をしかけている しかし どれも大半は失敗しているし 現に 僕の周辺でも 起きている 失敗の理由は 「みんな」という 誰だか分からない存在にむけて モノを作っているからだ」

鋭いですねー。これだけ、低成長、衰退、成熟期と言われているのに…マスマーケット、効率的な商品販売にいってしまうんですね。

達郎の「0PUS ALL TIME BEST 1975-2012」が発売になりました。コンサートで「希望という名の光」を歌う時…

「震災で、自分は全ての人に向けての歌は作れないし、歌えない、しかし、僕の音楽を聴いてくれる人、ライブに来てくれる人、この会場のあなたにむけ、ほんの少しでも元気になってもらえる歌は歌える」

「世界のみんなを幸せにする音楽は僕は作れない。でも、僕の音楽を聴いてくれるみなさまにだったら少しの幸せを届けることができる。だから今日も精一杯ここで歌います。」

そんな意味のことを必ず伝えています。ここにも「みんなとあなた」が伝わってきます。先週書いた「一点物の職人と、数物の職人」も同じ事ですね。

SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)の「スペシャルティコーヒーの定義、スペシャルティコーヒーとはどんなコーヒーか」というところで気になっている文章があります。

「消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。」

消費者と言う言葉はコンシューマーで、これはマスマーケティングの「みんな」だと思います。日本の成長期にマスマーケットに向けてひたすら量を売ることを目指して来たコーヒー業界のしっぽがここにあるんでしょう。

僕が度々書く…「スペシャルティコーヒーはカスタマーオリエンテッド」…このカスタマーは顧客で「あなた」に通じると思います。定義の文章の言葉に「消費者」を使う言葉の感覚には失望します。

「カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階に於いて一貫した体制・工程で品質管理が徹底している事が必須である。(From Seed to Cup)具体的には、生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。そして、適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。」

焙煎については…「劣化のない状態で焙煎されて」…これだけです。

「スペシャルティコーヒーはクラフト」とスペシャルティコーヒーに入った最初に教わりましたが…「劣化のない状態で焙煎されて」にはクラフトが伝わってきません。コモデティ商品の品質管理の発想ですね。(もうひとつ、いつもひっかかるのが、スペシャルティコーヒーをリードする立場の方が…「原料」ということです。まさに「原料」はコモデティ、大量生産の発想。気合いの入ったレストランや和食の店)が大切な魚や肉を「原料」とは言いません。)

先日、千葉のアリオのフードコートにある「千葉らぁ麺」のマネージャーのKさんがわざわざおゆみ野店を訪ねてくれました。僕はここのらぁ麺をはじめて食べた時の、麺が千葉県産の小麦の魅力いっぱいなことに驚き、大盛り無料なことも重なりファンになったんです。

今年はじめにある新年会でKさんと知り合うことができ…で、先日こーひー飲みながらラーメンの話しをしていたら…その大盛り無料の話しになりました。

Kさんは…「千葉らぁ麺」はフードコートの店なので…小さい子供連れのママさんむけに大盛り無料にしたんだと…「ん?なんなんだ」って思いますよね。

ママはお子さんと一緒に食べるので…お子さんに麺を分けると、ママの分が少なくなってしまいます。でも、ママにもきちんと一杯分の「千葉らぁ麺」を食べて欲しいと…「ほぉ~~♪やさしいー!!」ですよー。

大盛り無料にすることで、ママにもちゃんと一人分食べて満足してもらう為なんだそうです。フードコートの店というとファーストフードで、手軽な値段で、気軽に、早く食べられるってイメージですが…ひとりひとりの「あなた」の満足を考えると「大盛り無料」から全く違った景色が見えてくるんですね。かなり感動しました。

「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。


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2012.09.23

プロのつぶやき657 「職人ワザ!」

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お待たせしました♪昨日9/22(土)から千葉は秋になりました。日曜の今朝は小雨が降っています。雨は好きじゃないですが…なんだかご機嫌です。

先日の月曜日は…巣鴨でのとってもディープな志の輔師の独演会があって(もう9月なのにまだまだ暑いということから、夏のネタの
「千両みかん」と「へっつい幽霊」2席で夏の名残を楽しみました。)…ちょっと時間に余裕があったので丸の内三菱ビルでやっていた 「シャルドン展」も観てきました。

フェルメールのようには有名で無いので…ちょうど良い具合に空いていて…ゆっくりと観られ、静寂の巨匠とサブタイトルがついているように、静かなやさしいひとときになりました。

この夏は…カフェの方からの問い合わせが何故か多く…焙煎見学が数件あり…ビーンズショップの独立の相談もあったり…最後は、1月にプロバット焙煎機に替えてからも、ずーっと店に置いてあった18年半使ったフジローヤル焙煎機を譲ることにして、ブログでインフォメーションしたら、その日に2件の問い合わせがあり、どちらの方にお譲りするか悩んだ結果嫁ぎ先が決まりました。女性スタッフ3人が暇をみては嫁いでいく焙煎機をピカピカに磨いています。まだまだ活躍して、美味しいこーひーを焙いてくれるでしょう。感慨深いものがありますね。

そんなこんなで…最近感じているのは、どうも日本のスペシャルティコーヒー業界に疑問を持っている人が表面化してきているのかなということです。

12年前にスペシャルティコーヒーに踏み込んだ時…スペシャルティコーヒーは「カスタマーオリエンテッド」で「クラフト」…「お客様が美味しいと感じるもの」と教わりました。その時に…おぉ!素晴らしい♪…と感じて、クラフトとしてのスペシャルティコーヒーを磨いているんですが…業界は、素材さえ素晴らしければ良いと…素材自慢に走り、農園主との写真ばかりで、肝心のコーヒーの魅力は2つ3つの言葉だけ、しかもそれは資料丸写し、そんな店ばっかり…10年経ってもクラフトとしての焙煎やブレンドのノウハウの構築がされず…お客様が美味しいと感じることもないがしろにしています。

どうやらそれはおかしいじゃないかと感じている人が増えて来ている空気を感じたこの夏でした。(勿論、そういった声は以前から伝わってきていたんですが…その量があるラインを越えてきたのかな?って感じです。)

で、先日…千葉のお茶の名店関口園の奥さんが「職人ワザ!」(いとうせいこう著)という本をFacebookで紹介されてたんで即取り寄せて読みました。浅草を中心に江戸文字、手ぬぐい、鰻、効果音、テーラー、かりんとう、パイプ等々どれもゆっくりと味わいながら読みましたが…最初に登場した「扇子の文扇堂」の荒井修さんの話しには大きく頷きました。

ブン回しっていうコンパスのようなもので正六角形の亀甲紋から麻の葉模様等々様々な日本紋様を描く職人の技術があるんですが…そんな仕事の説明の中で度々でてくるのが「見当」という言葉なんです。

最近はあまり使わないかな?見当違いとか言いますよね、その見当です。職人の世界ではこの見当をつけるのが大事なんですね。限られた時間やコストの中での仕事ですし、必要以上に正確であっても意味ないんですね。

デジタルの時代ですから、焙煎の世界でもなんでもかんでもデータをとって、パソコンに取り込んで真面目に仕事しているつもりになっている例が多いですが、そのデータが効果的なものでないと意味ないですし、無駄に細かくてもダメなんです。

焙煎の本質を掴んで、必要なデータをとればいいんです。まぁある意味「見当」ですね。それで、狙った香りや味わいに焙ければいいし、勿論、再現性がなくちゃだめですけどね。(先日の焙煎見学の方は、あるグループに入っていて、キャリアも6年あるんですが…かケニアを6秒水分抜け甘くして焙き、ドンピシャの豆と並べてカッピングしてもらったら、最初どちらも美味しいって言っていたのが、冷めてくるにしたがって酸が微妙に重くなり、余韻の印象が悪く無るのを感じて、衝撃を受けていました。)

で、ヤッパリ!!って思ったのが…荒井さんが扇子の修行に入って、いつか歌舞伎座の舞台に扇子で一枚噛めたらなぁーと想い、その夢が30代でかなえられたのですが、舞台と扇子の話しになった時に…「扇子が目立っちゃいけないんだよね。衣装があったり、他の小道具があったり、照明があったり。そこで扇子が目立とうとすると、ろくな舞台にならねえ」

玉三郎の扇子の話しで…「だから、例えば次の舞台用にってお玉さんに頼まれてもさ、仕立てるときにはデザインを見せたときよりも色を一杯だけ薄くするの」「あとさ、舞台に限らないけど、俺たちはノゾキって手を使うんだよ。例えば、月を描こうとして全部を扇子の中に入れちゃうと小さくなるでしょう?だから全部を描かない。ある部分だけを描いて、あとは外にだしちゃう」

想像にまかせる。

「空き地をどこに作るかなんです、勝負は。自信のないやつに限って全部埋めるわけ。だけど、”うめえな”って、一拍置いて”うめえな”って言えるものって、みんないい空き地を作ってるよね」

さらに…「一点物の職人と、数物の職人で違うね。俺は一点物の職人だから、考えて考えて考えた末にくみ上げてくわけでさ」

アーティストとアルチザンの話しに…一点物の仕事も全部職人の仕事と説明して…「俺たちの時点で芸術だなんて思ってない、だからアルチザンなんですよ。俺たちのところまではアルチザン。でもアルチザンの集合体でアートに持っていこうという了見があるわけです」

いいですねー!!…スペシャルティコーヒーはクラフトですし、僕自信職人仕事が好きでこの仕事に入ったわけですが…職人にも色々とあって…いい意味でつかわれるような職人は実際は少なくて、けっこう手抜き大好きな職人が多いんですね。

で、アーティストとアルチザンの話しには膝ポンでした。「一点物の職人と、数物の職人」は分かりやすいですね。

この間の土曜日は、サンク・オ・ピエでのいつものワイン会でした。サンクのシェフは「一点物の職人」です。
http://plaza.rakuten.co.jp/cinqchef5/diary/201209180000/

ニュージーランドのピノ・ノワールがテーマのワイン会だったのですが…メインの「牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」にはみな唸りました。
焼いても硬くて食べられないホホ肉を…滑らかで、きれいな味わい、上品なコクと透明感、味わい深さと見事なお皿でした。そーそー、勿論柔らかいのは当たり前ですよ。

最初に強火で肉の表面を焼きつけるところでも…一般的には壁を作り、煮崩れないようにしっかり焼きつけると言われていますが…実際にはこれは焦げ目で煮込み料理に香ばしさを追加したいからだそうです。

「よく肉を焼く話で私が書いていますが、「肉を焼いて壁を作るといいますが、実際には壁などできません。」焼いた肉の香ばしさが煮汁に溶け込むことにこそ意味があるんですね。ですから、表面だけしっかり焼き色さえつけばいいんです。中にまで火は通す必要はありません。ですから、この作業はルヴニール(強火で焼く)という言葉を採用します。」と書いています、納得ですね。

次に「軽く焼き色をつけた、ミルポワ(香味野菜、玉ねぎニンジンセロリニンニクなど)を入れた鍋に肉を並べ、赤ワインをひたひたに入れます。今回はホホ肉5キロに対して、赤ワインを8本使いました。この量が肝心です。ここで赤ワインの量が少なかったり、あまりに安物を使うとこの料理は美味しくできません。今回は、ニュージーランドの上質なピノノワールを味わうワイン会用の料理だったので、ピノノワールに近い品種の南アのピノタージュを2本、イタリアのサンジョベーゼを4本、チリのピノノワールを2本使いました。」

この数日後、涼しくなってきたので久々に日本酒を買いにいまでやさんに寄って…シェフのお弟子さんでもあり、今はいまでや酒店でワイン担当をしているOさんとこの「牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」の話しになりました。

そこででたのがこの3種類のワインを使っているということでした。これはさかもとこーひーでも時々使うテクニックで…豊かなコクのブレンドを作りたい時、深く焙いた豆を使いがちなんですね。すると、苦めになるだけで、円やかで豊かなコクにはならないんです。苦いブレンドを作りたいんなら良いですけどね。そこで、共通したキャラクターでも少しずつ違う豆を数種類ブレンドすると、コンプレックスと言いますが、複雑さがでて、薄っぺらい味わいにならないんです。まぁ、円やかさとか豊かなコクは使う豆と焙煎によりますが…。

ソースの仕上げでは…「別の鍋にピノノアールを1本入れて強火で半分くらいに煮詰めます。これを煮汁に加えてさらに煮詰めます。ここで赤ワインをもう1本加えるのは、ワインの色素をだいぶ肉が吸い取ってしまうので、ソースに色付けをしたいのと、新たに新鮮なワインの風味を追加したいからです。全体が最初の1/3くらいにまで煮詰まったら水溶きコーンスターチで少しだけとろみをつけます。これでソースのベースの出来上がり。とにかく、ここで丁寧にアク取りすることが、つやのある綺麗な味わいのソースにするコツです。」

「赤ワインをこれだけたっぷり使いながら、くどくなくスーッと溶けるような味わいに仕上がりました。こういう料理はよく、「ワインを飲まないときつくて食べずらい」なんて言う人がいますが、この料理はワインなしでも普通に美味しく召し上がれますよ。ワイン会のみなさんも「何の引っ掛かりもなく、スーと来てとろける。綺麗な味わいだね。」と好評でした。」

「雑味の無さ、肉の旨味とワインの味のバランスなど、こういう煮込み料理の味わいを考えるときに最近のさかもとこーひーの味わいとダブりますね。苦くて濃くて引っ掛かるような昔のこーひー、濃くて重たい古いスタイルの煮込み料理に対して、ワイン会でいただいたコスタリカ・シンリミテスの思わず「やばい」としか言いようがないほどの綺麗な味わいのさかもとこーひーとこういうピュアなスタイルの煮込み料理ということで、イメージが重なるわけです。」

と、いうことで…秋に向けて、最高に美味しい仕事にするための 「職人ワザ!」話しでした。

「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。

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2012.09.20

焙煎機譲り先が決まりました。

焙煎機譲り先が決まりました。

9月18日にブログでお知らせした、
さかもとこーひー開店以来活躍してきた
フジローヤル直火5キロ焙煎機ですが、

当日夜にお二人の方から問い合わせがあり、

焙煎機の使用状況その他条件をお知らせし、

お二人ともにさかもとこーひーと縁のある方なので、
迷ったのですが、

さかもとこーひーの味と商いの考え方に納得して
相談にいらした方にることになりました。

昨日今日で時間をみてはスタッフ総掛かりで
焙煎機を磨きました。

だいぶピカピカになりました。
スタッフはもっと細かいところも気になっていて、
まだまだ磨きそうです♪

感慨深いものがあります。

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2012.09.19

コーヒー焙煎の水分抜けをカッピング検証してもらいました。

コーヒー焙煎の水分抜けをカッピング検証してもらいました。

今朝の6時半からの焙煎見学で、

僕がきちんと水分抜けできていると考える豆と、
基準から6秒ブレている豆を並べてカッピングしてもらいました。

ケニアです。

温かいうちは、
なんとなくしか違いが分からないと言ってました。
ブレている豆でも十分美味しいと。

で、少し冷めると、なるほど、違いますね。

完全に冷めると、おぉ!全く違いますね。

しかし、いつもは水分抜けがもっと甘い豆しか飲んでいないから、
分かりにくいと。

でも、さかもとこーひーの常連さんなら、
水分抜け甘いこーひー飲んだら、
即いつもとなんか違うと分かると思います。

普段、飲んでいるコーヒーのクオリティによりますね。
慣れって恐ろしいから。

水分抜け甘いと、
喉を心地よく通り過ぎていかないんです。

なんか引っかかる。
重い味わい。

それをコクと勘違いしている同業者もいます。

勿論、素材のクオリティ低いのは論外として。

やっぱり比較すると誰でも分かりますね。

もっとも、
さかもとこーひーの常連さんなら、
他所の水分抜け甘いコーヒーは飲みにくいってすぐ感じますね。

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2012.09.18

焙煎機譲ります。

焙煎機譲ります。

さかもとこーひーで開店以来活躍して来た
フジローヤル直火5キロ焙煎機
お譲りすることにしました。

今年の1月にプロバット12キロ焙煎機を導入し、
8ヶ月問題無く焙煎してきました。

何かトラブルがあった時の為に、
フジローヤル直火5キロ焙煎機を
予備に置いていましたが、

どうやら、問題ないようですし、
メンテナンスも慣れましたので、
そろそろ手放すことにしました。

18年半使用してきました。
機械はトラブルの多いものから、
ほとんどトラブルの無いものまで色々とありますが、

お陰さまで、18年半大きなトラブル無く焙煎してきました。

モーターはこの2年間で交換してあります。

その他改造はしていません。

ご希望によって、
私が焙煎指導いたします。

設置、運搬の手配もできます。
冷やかしはお断りいたします。

お名前、
おところ、
電話番号、
メールアドレス、
開業している場合は店名
開業予定の場合はその旨

その他ご質問

メールでお問い合わせください。
takafumi@sakamotocoffee.com

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2012.09.17

プロのつぶやき656「コスタリカ・シンリミテス、モカ・シダモ、ベラ・ノッテ、ペーパームーン、ブラジル・サンタエレナ、カフェフィガロ」

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朝晩はなんとか涼しくなりましたが、日中はまだまだ暑い毎日になっていますが…今、日曜の朝は小雨が降って、これでまた季節がひとつ進みそうです。

「職人ワザ!」(いとうせいこう著)を今読んでいるんですが…これが久々に宝の山で…浅草の扇子、江戸文字、手ぬぐい等々職人同士で使われている言葉や考え方にハッとしたり、なるほど!と思ったり…1ページ1ページめくるのにドキドキしながら読んでます。

この本は、千葉の名店関口園さんの奥さんからFacebookで紹介されたんです。関口園さんは僕のおばあちゃんが贔屓にしていたお茶屋さんで(本店はキボールの近所ですが、ペリエの地下にもお店があります。)我が家は玉露入り玄米茶を毎日飲んでます。これが、こざっぱりとした美味しさで、夕食のあとにピッタリなんです。勿論、煎茶は高級品からお手頃まで、深蒸しでないお茶本来の魅力が素晴らしいです。で、さかもとこーひー開店以来の常連さんでもあるんですけどね…。

そんなこんなで…次々と届いている新着豆の中から…9月の新しいこーひーのご紹介です。今回は…まず、昨年カップオブエクセレンスこーひーでご紹介して大好評だったコスタリカ最高峰農園「コスタリカ・シンリミテス」…モカ・イルガチェフェに替わっての円やかな魅力「モカ・シダモ」…コク円系秋冬人気NO1「ベラ・ノッテ」…秋の爽やかな甘さ系「ペーパームーン」…華やかな香りと円やかな甘さが魅力的な「ブラジル・サンタエレナ」…ご好評にお応えして250gパックでも登場「カフェフィガロ」の6つです、お楽しみください。

【コスタリカ・シンリミテス】
昨年、コスタリカの名門シンリミテス農園のカップオブエクセレンス受賞こーひーをXマスシーズン向けにご紹介し…そのとっても柔らかな口当たりと甘さが際立って大好評でした。そして、今回少量ですが「コスタリカ・シンリミテス」としてご紹介できることとなりました。

まず、ひとくち目、その透明感と同時に感じる上品な甘さが際立っています。二口目、キレの良い味わいから…クランベリー、オレンジ、フローラルと素晴らしい香りを楽しみながら…少しずつ冷めてくると、よく熟した甘さとシルキーマウスフィールと言われる繊細な口当たり…さらに冷めると、余韻にメロン、バナナ、ヘーゼルナッツ、チョコレートと色々な魅力が浮かんできます。

完全に冷めてからの甘さと一体になった明るい味わいは農園のポテンシャルを感じますね。テスト焙煎のあと、カッピングしてコメントを見ると、去年の「コスタリカCOEシンリミテス」と全く同じで驚きました。

変わったのは焙煎機だけです…新しいプロバット焙煎機での焙煎でさらにこの「コスタリカ・シンリミテス」の魅力を引き出せたと思ってます。昨晩、いつもの幕張本郷サンク・オ・ピエでのワイン会にこの「コスタリカ・シンリミテス」を持っていったのですが…ワイン会のみなさん、シェフ、マダムとみなさん驚いていました。シェフはいきなり「これ、ヤバいね!」ってニコニコしてました。

コスタリカのトップスペシャルティコーヒーの魅力を心行くまでお楽しみください。

1890円/250gパック(税込み)

【モカ・シダモ】
しばらくお届けしてきた「モカ・イルガチェフェ」が無くなってしまいましたので…こちらもファンの方が多い「モカ・シダモ」をご紹介します。「モカ・イルガチェフェ」は素晴らしい魅力でしたが…この「モカ・シダモ」は、同じエチオピアモカでも、また違った魅力の素晴らしいモカです。

まず、柔らかな甘さと一緒になったボリューム感といいましょうか…クランベリー、ブルーベリー、フローラルといったモカ・シダモ特有の香りから、少し冷めると軽めの赤ワインのようなキャラクターが素晴らしいです。

とってもきれいな味わいに、円やかな柔らかいコクと甘さが素晴らしいですね。さらに冷めてくると、ワイニーとかアールグレイといった魅惑的な一面が出て来て、完全に冷めると甘さを伴ったスパイシーさまで浮かんできて、この「モカ・シダモ」をより際立たせています。

口当たりは、円やかなコクにシルキーマウスフィールと言われるような繊細さもあって、甘く長い余韻を引き立てます。お楽しみください。

1890円/250gパック(税込み)

【ベラ・ノッテ】
お待たせしました…もうすっかりお馴染みになり…「ベラ・ノッテ」が発売されると秋を感じる常連さんが年々増えています…さかもとこーひーの季節感を代表するブレンドです。

秋向け《旬・瞬》ブレンドとして2001年の10月にデビューして、もう12年目。秋冬人気NO1ブレンド「ベラ・ノッテ」です。ディズニー・アニメ映画『わんわん物語(Lady & The Tramp)』の挿入歌『Bella Notte』(美しい夜)からネーミングしました。

1993年発売の達郎の「シーズンズ・グリーティングス」というアルバムの2曲目で…This is the night,it's a beautiful night~…ではじまるきれいな歌詞とメロディで、子供の頃から馴染んでいたこの「Bella Notte」をますます好きになり、いつかベラ・ノッテというブレンドを作りたいと思うようになったのでした。

秋から冬に向けてどんどん空気が澄んでいく奇麗な夜、輝きをます星をイメージしました。ブレンドしたのは「グアテマラ」と「ケニア」「エルサルバドル」です。

柔らかな口当たり、きれいな余韻、深い甘さと味わい、円やかな甘く良い感じの苦味…香りは、柑橘系、フローラル、チョコレート、奇麗で輝くような爽やかさが基本です。深煎りのブレンドですが、苦味よりも円やかさきれいさ味わいの深みの魅力をイメージしています。

初秋から晩秋…初冬から厳冬…グアテマラ、ケニア、エルサルバドルを使って微妙にブレンドを変えていきます。季節の人気ブレンドになった「ベラ・ノッテ」をこれから約半年…お楽しみください。リッチな味わいのパイや勿論チョコレート系のお菓子、フルーツたっぷりのお菓子、シュークリームやエクレアにもご機嫌な組み合わせになると思います。

1575円/250gパック(税込み)

【ペーパームーン】
5年目になった秋の爽やか系ブレンド「ペーパームーン」です。日が暮れるのがどんどん早くなってくる季節、夕方買い物にでた帰り、車から見上げるお月さんの奇麗な事、そんな季節をイメージしました。

去年からリニューアルした「ペーパームーン」は、「ボリビアCOENWアルベルト」と「エチオピアモカ」のブレンドです。これが、焙煎機がドイツ製プロバットになって、さらに完成度が高まりました。

夜空の透明感から、秋の爽やかさをイメージする上品さや優しい味わいがより魅力的になりました。「エチオピアモカ」のフローラルやベリーに、「ボリビアNSアルベルト」のミントが一体となったなんともいえない香りがご機嫌な仕上がりになりました。その香りがいつまでも心地よく続きます…いいペーパームーンになったと思います、お楽しみください。

1575円/250gパック(税込み)

【ブラジル・サンタエレナ】
ブラジルのスペシャルティコーヒーを代表するような際立った魅力だと思います。カップオブエクセレンスの2002年2位、2009年23位になった農園ですので…その優秀さ、ポテンシャルの高さは予想していましたが、実際にテスト焙煎し、カッピングした瞬間に驚きました。

とってもきれいな味わいからクリーミーな口当たりが親しみやすい味わいを際立たせていますが…飲みやすさから、明るい印象と甘さ、円やかさが素晴らしいバランスです。

キャラクターは、オレンジにアップル、アプリコットと華やかさいっぱいです。さらにミルクチョコレート、余韻にはブルーベリーとどんどん魅力が出てきます。

冷めると、ハニーライク(グアテマラのハニーライクとは又違っています)そして、フローラル、冷めてからのフローラルは珍しいと思います。そこに、ブルーベリーが一緒になって、甘さがとっても爽やかになっていき…全体をベルベットマウスフィールと言われる、シルキーよりももう少し滑らかと言うか、艶やかと言うか、素晴らしい味わいです。

最後は、飲み終わってからの長過ぎる程の余韻とクリーミーな甘さがいつまでも続きます。「ブラジルCOEベラビスタ」との比較も楽しいでしょう。

1575円/250gパック(税込み)

【カフェフィガロ】
濃いめのドリップバッグとしてデビューして、常連さんにご好評しただいている「カフェフィガロ」ですが…このブレンドを250gパックで発売して欲しいとのご要望がありました。自分でもなかなかよくできたブレンドだと思ってますので…さっそく、250gパックでお届けすることにしました。

元々「カフェフィガロ」は「夏の空」がベースになっています。基本的には「夏の空」と同じイメージですが…その時々でブレンドに使用する豆が代わっていきます。定番こーひーとして、深煎り好きの常連さんのために、いつでも楽しめるようにブレンドする豆の在庫をしていきます。

深煎りこーひーの豊かなコク、ボディ感と香りをマンデリン・ボナンドロクと深煎りのブラジルのブレンドでイメージしています。他の豆は…中米のグアテマラ、コスタリカ、エルサルバドル、ニカラグア、コロンビア等から3-4種類ブレンドします。

深煎りこーひーの味わい深さ、コク、ボディ、甘さ、香りが楽しめると思います。濃いめといっても、強い苦味は避けています。勿論、不快な苦味ざらついた苦味なんてありません。さらに、ミルクを入れて思わずニッコリするようなミルクとの相性の良さがあること。季節によっては、アイスこーひーにも出来るようになっています。

さかもとこーひーの新しい深煎り定番こーひーとして末永くお楽しみください。

1575円/250gパック(税込み)

「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。

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2012.09.09

プロのつぶやき655「スペシャルティコーヒーのジレンマとロースターの責任」

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千葉はこのところ集中豪雨や雷が多くなっています、季節の変わり目ですね。昨日の土曜日は…埼玉からわざわざお客様が来店してくださいました。その女性は…僕の紅茶の店テ・カーマリーに30年前に通ってくれたいた方なんです。最初はFacebookで繋がっていたんですが…来店されてひと目見た瞬間に女子高校生だったあの頃を思い出しました。嬉しいですね♪

豪雨と言えば、先日夏フェス初体験で…達郎の山中湖まで行ってきました。東京駅からバスで行ったのですが…都内から横浜辺りがものすごいどしゃ降りで、いったい野外のコンサートはどうなるのか?不安でしたが、山中湖は濡れるほどの雨は無くて…夏の終わりに自然いっぱいの中で「さよなら夏の日」を楽しめました。若いひといっぱいでしたが…みんなリラックスして楽しんでいるのがとっても感じよかったです。又行きたくなりました。

前回のプロのつぶやきでさかもとこーひーを訪れる若い人の話しをしましたが…今週は市内でラテアートの教室をされている女性のお宅に行って…実際にエスプレッソやラテを淹れてもらい、抽出の擦り合わせをしたり…僕と同世代ご夫婦が今年になってオープンしたカフェに呼ばれて喫茶店や昔の話をしたり…ちょっと意表を突かれたカフェを近所で準備している方と出会ったり…なんだか市内中心にカフェのみなさんとの出会いが増えています。

さらに、カフェだけでなく、若いビーンズショップのみなさんからのメールや注文も増えています。TwitterやFacebook の影響があるみたいですね。さかもとこーひーは開店以来、基本的に家庭向けのビーンズショップとして家庭でのこーひーのある暮らしの豊かさを追い求めてきました。

が、開店20年目に入り…カフェや喫茶店事情が変わり…リタイア世代のみなさんの喫茶店へもとめるひとときや…若いみなさんのカフェへの期待を感じるようになりました。

で、まぁやっぱりなぁー!と言うのと、なるほど!と思うのとあって…バリスタのみなさんのスキルアップは目覚ましいものがあると感じているんですが…使っている豆の条件の中で技術も感性も磨いているので、その壁がはっきりと見えてしまいます。

10年前後前と違って、今はかなりクオリティの高い素材が国内に流通し、使おうと思えばかなり使えるようになりました。が…以前から言っていることですが…業界内に焙煎とブレンド、マーケティングのノウハウが全く構築されていません。さかもとこーひーにアドバイスを求める人には、個人的に色々とアドバイスしてきて、結果も出ています。だからか、バリスタやビーンズショップの方からの問い合わせが目立ってきたんでしょうか。

スペシャルティコーヒーに出会い、スペシャルティコーヒーの世界に入ってきた人たちは、とりあえず業界で目立っている店の豆しか参考にするものが無いでしょう。その結果、素材のクオリティだけは高くても、まともに焙けていない豆でスキルアップを目指すことになっていると思います。

何故、そんなこと言えるのか。実際にバリスタの方と一緒に検証すると…ほとんどが過抽出と言って(ほんと数秒で微妙なんですが…。)出し過ぎなんです。そうしないと水っぽい味わいになってしまうんですね。それが、エスプレッソのコク、ボディなんだと思っているようです。そんなところから、普段どのような豆を使っているか分かりますね。

で、さかもとこーひーの豆でほんの数秒早く抽出してもらい、僕がベストと思っているバランスになると…エスプレッソでもラテでも、ひと口飲んだ瞬間に笑顔いっぱいになって、美味しい!と声が出るんです。そんな経験の繰り返しをしているからです。基本的な技術は身につけていても、素材の経験が無いと感性も磨かれないんですね。

これは、ブレンドでも同じで…クオリティの低い素材やきちんと焙けていない豆でいくらブレンドしても、感性もノウハウも向上しません。ところが、それが本人には自覚できないというのが、味覚の怖さでもあります。比較しづらいですからね。

まぁ、バリスタのみなさんはロースターの豆を仕入れても限界を感じ、ローストをはじめる店が増えているようです。が、自分で焙煎すれば解決するものでもありませんから、厄介です。

ビーンズショップのみなさんでも、最近さかもとこーひーを取り寄せてご感想のメールがくると…驚いている様子が伝わってきます。

夏の間に都内のカフェを何件か回りましたが…まずは、アイスラテを1杯頂いて、それからエスプレッソやカフェプレスのコーヒーを飲もうと思って行ったのに…アイスラテを半分も残して後は飲まずに帰ったこともありました。豆が表面焼けしているし、水分抜き悪いし、プリピリ辛くて後味悪いし…その帰り道にロースターの責任を感じたんです。

30年前に自家焙煎店が増え…その後、世の美味しいもの好きのみなさんの視界から消え去ってしまった過ちを…スペシャルティコーヒーやエスプレッソでも繰り返すのか!…危機感いっぱいになった夏でした。

お陰さまで、さかもとこーひーは常連さんに恵まれて、幸せな商いになっていますが…すみません、今日は業界の暗い話しになってしまいました。

「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。

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2012.09.03

プロのつぶやき654「味作りの感性は論理」

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8/30.31と千葉は局地的などしゃ降りで…31日の夜はブルームーンが輝き…9/1の朝は空の色が変わり、焙煎の火力も変わりました、もう夏も終わりですね。

この7月8月は…遠くからわざわざさかもとこーひーまで訪れる若い人が何人もいました。まぁ、年に何回かは取材やセミナーの依頼(最近は業界からはほとんど無くて、異業種がほとんですが…。)がありますが…当然同世代ばかりですから…若い人とのコミュニケーションは刺激的でした。

宮崎からは開店1年のケーキ屋さんがご夫婦でいらして、色々なお話しをしました。コーヒー関係では独立を目指している方が博多から来ました。群馬の方は朝6時半に来て焙煎を見学していきました。メールでの焙煎の相談も何件かありました。そーそー、一番目立っているのは、同業者からのドリップバッグ・カフェデイジーとカフェフィガロの注文ですね。

なんなんでしょう?…さかもとこーひーをチェックしたいのなら…シングルオリジンやブレンドが普通だと思いますが、ドリップバッグをわざわざ注文するなんて…ドリップバッグのクオリティを確認したいのか?…ドリップバッグがお客様に支持されている理由を知りたいのか?…まぁ、どちらにしても同業者が買ったくらいで分かるようなものでは無いんですが…。さかもとこーひーのキャリアが結集されたものだと思ってますからね。

おっと、余談でした…独立前とか1年とか、不安と希望でいっぱいだと思いますが…自分にもそんな時あったんだと思い出しますが、だいぶ記憶が薄れてしまいましたね。それだけ年を重ねたということですね。しっかりと、若いエネルギーを受け止めました。

先日の月曜日は新宿で「山下達郎・シアター・ライヴ」を観てきました。月曜日でしたので希望の回に入れましたが…それでもほぼ満員、平日の昼間にみんな何しているんだ!って感じでした。(何でも、ミニシアターで1位になったそうで、この毎日の満員は映画業界で異例のことだそうで…9月に渋谷でも1週間上映されることになったようです。)

内容は、1984-2012年までのライブ映像を、ドキュメンタリーの要素を排除して、ひたさら歌と演奏…通常のライブでは合間合間のしゃべくりがあるので、ちょうど良く休めますが…90分演奏に集中していたので、ものすごくつかれました、勿論最高にご機嫌な疲れですが。ライブとは又違った感動で…昔の歌と演奏もいいし、今の歌と演奏もいい、青純のドラムはやっぱり凄いし大好きなんだけど、若い小笠原君のドラムも3シーズンだけでも魅力的な変化があって素晴らしいし…まぁ、感想書いてると切りが無いです。

いつもソウル関係のブログを楽しみにしている吉岡正晴さんが書いていました。◎山下達郎・シアター・ライヴを見て~軸ブレずに四半世紀 http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11341325362.html

吉岡さんも書かれていますが…28年にわたる歌と演奏を映像で並べて、何の違和感も無く、無いどころか却ってより魅力的になるのか?…やはり、楽曲が良い、歌も演奏も素晴らしい、ということなんですが…そこにいつもブレの無い軸と言いますか…何を良しとするかの規準、美意識が揺るぎないものなんだろうと思いました。

「美味しさ」を仕事にしていると…プロのつぶやき652「味覚の怖さ」でも書きましたが、常に味覚の儚さに不安を感じる中…それでもブレの無い軸を求めて、日々精進を心がけているのです。

いつも大変興味深く拝見している日比さんのTwitterにとっても共感するものがありました。

「コンテンツとして「料理」ほど 難しいものはないとつくづく思う レシピだけで「味」の再現はほぼ無理だ 音楽の場合は「耳コピ」で自分の再現位置は確認できる しかし 料理の味は まずは食べてみないと理解できない 本だけでは、よほど読み手の料理に対するスキルがないと無理だ」

そうなんですよねー。レシピの行間を読み込み…そのレシピの意味するところを把握し…さらには、レシピを越えて、自分の料理に引き寄せる…なんて、言葉では分かりますが、これをできる料理人は知識、技術、感性、キャリア、食べる方への想像力と要求されますから…素人は勿論、生半可なプロではとっても無理だと思います。

「音楽や映像コンテンツと料理コンテンツが もっとも違うところは 前者は「完成」作品に対して直接触れられる しかし 料理は メディア経由による「視覚」と「文章」だけでの「擬似体験」でしかない だから「絵」になることをメディアも料理人も意識してしまう 僕はそこに欺瞞を感じる」

全く、同感です。雑誌やTVは「絵」になることを求めますしね。彼らは、料理の本質を伝えることよりも、雑誌を売り、視聴率を上げることが仕事なんで仕方ありません。

ましてや、コーヒーや紅茶となると「絵」にもなりにくいですから。それに、味わいや香りも伝えにくい。困ったものです。TVからは相手にされないし、雑誌は売りやすいストーリーを求めます。

「今 売れている 料理本 すべて「ビジュアル」先行か 「健康」など「キーワード」先行のどちらかだ 極論すると 味など関係ない 売れている料理本を見たらいい それらを否定はしない 新しい料理の視点があるものも存在しているのも事実だ」

で、音楽業界はマスマーケットですから、達郎のようにTVでない、DVD出さないなんてありえないはずなのに…そんなスタンスであっても、37年間現役を続け、未だに全国ホールツアーでソールドアウトし、シアターライブで記録的な集客をし、常連から新しい若いフォンを満足させる…そのクオリティ、ブレない軸の強さを感じるのです。

先日、サンク・オ・ピエのシェフが「仕事の精度」というタイトルでブログをアップしました。(鳩、ほろほろ鶏、鴨、尾長鯛、エゾ鹿、猪とそれぞれの見事な焼きが写真でアップされています。僕はこの写真だけで、香りからナイフを入れた感触から、実際の味わいまで思い出してしまいます。)http://plaza.rakuten.co.jp/cinqchef5/diary/201208280000/


「味覚の怖さは私もいつも感じていて、自分が美味いと思ったらお客様が皆美味いと思うとは基本的に考えていません。自分の楽しみと商売とは別物だからです。だから美味しいものを作ろうというよりも、精度の高い正しい仕事をすることを一番心がけてます。科学的に見ても理にかなったことをやっているつもりです。で、究極的に言ってしまえば、正確に塩を振って、正確に焼き上げること。これが私の料理の一番のテーマです。」

やはり「味覚の怖さ」を真摯に受け止めるからこそ…正確に塩を振ること、正確に焼き上げること、さらにサラダの完璧な水切りやドレッシングの巻具合まで…隙の無い仕事になっているんでしょう。

「いまだに「肉の表面を強火で焼きつけて、、」なんて言っているくらいですから、業界自体のレベルがそんなものなのかもしれません。こーひー業界でも、素材を手に入れるだけで満足してしまって、せっかくの豆のポテンシャルを不細工な焙煎やブレンドでかえって台無しにしているというのがあるようですが、常に自分の仕事に疑問を持って、客観的にまた科学的にやっていないとだめですね。」

当然のことながら、仕事をスタートした頃は、そんな疑問の持ちようがありません。最初は先輩の真似をして、業界の言い伝えや本を学び、身につけて行きます。しかし、いつまでもそれでは向上がありません。他の飲食の技術や知識、味わいの経験を積み重ね…自分の仕事にフィードバックして、仮説検証を繰り返します。そのスタートが疑問を持つことでしょう。(そして、その答えには再現性を求められます。)

「そんな姿勢が、私と坂本さんの大きな共通点だと思います。坂本さんの焙煎の話を聞くと理路整然で筋が通っているのでとてもよく分かりますし、坂本さんは私の料理の理屈の一番の理解者の一人であると思います。だから、少しメニューの説明をしただけで、坂本さんはそれに合わせたブレンドを作ってくれるんです。まあ、いわゆるツーカーというわけですね!(笑)」

似た者同士が、時間をかけてツーカーになってきましたから…快感になってますね。ほんとバンドサウンドのようです。

「それに坂本さんとよく話すのは、こーひー屋はこーひー、料理人は料理だけやってちゃ駄目!という事。専門バカになってしまうと結局独りよがりの偏狭な世界にこもってしまうんです。味というのは、とてもとらえどこらが無くあいまいなものです。こーひーを作るのにこーひーだけ勉強しても限界があります。色々な料理やデザートや様々なワイン、それに非食品、金属の味や土や樹や海や川の香りなどあらゆる香りや味に敏感でないと、味の判断や記憶はできません。もっといえば、本を読んだり映画を見たり音楽をきいたりすることも、知性感性を磨くという点で欠かせないと思います。良いものを見たり聞いたり感じたりしないと、本当に良い物を見極める力がつかないと思います。」

猪瀬直樹さんの本に「感性は論理」と書いてあったと思います。そう、シェフも僕も「論理と感性」を並立しているところが似ています。その点「感性は論理」ってスッと入ってきますね。応用は基礎の積み重ねと思っているのですが…基礎を徹底すると、他の人にはその基礎のスピードがあまりにも早いために、応用にしか見えないのですが…本人にとっては基礎の積み重ねでしか無いってことがあります。「感性は論理」にも同じようなものを感じます。(達郎ももの凄く理屈っぽいのに、素晴らしい感性で表現していますから、長く惹かれるのでしょう。)

「坂本さんは、豆を焼く。私は肉や魚を焼く。仕事はシンプルなんですが、やって見ると結構奥が深いです。」

ほんと基礎の積み重ね、基礎をどこまで追い込んでいるかですね。若い人達は、不安とエネルギーの狭間で頑張っているのでしょうが…それを20年30年積み重ねると…素晴らしい仕事の快感を味わえるでしょう。お先に愉しませてもらっています。

「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。

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