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2013.02.24

プロのつぶやき679「スペシャルティコーヒー、マリアージュの手の内明かします。」

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プロのつぶやき679「スペシャルティコーヒー、マリアージュの手の内明かします。」
先日、花粉の猛攻撃でやられちゃいました。いつもは1月から薬を飲み始め予防しているんですが、今年は定休日の月曜日になんだかんだ用事ばかりだし油断もあってお医者さんに行っていませんでした。あわててお医者さんに飛び込み薬を出してもらいました。今はなんとか落ち着いてきました、花粉症にも春を感じてしまいます。
春と言えばさかもとこーひーは「桜ぼんぼりカフェ」と「ミモザカフェ」ですが…お陰さまですっかり常連のみなさんにお馴染みになって、今年も春を待つ声とともにご注文を頂いています。
20年前にさかもとこーひーをはじめる時…和菓子のようにお客様の暮らしの中に季節を感じるこーひーにしたいなぁ~と思っていましたので…この商いのやりがいを感じています。
そんなこんなで…デザートとこーひーのマリアージュが進化し続けている相方の幕張本郷のフレンチレストラン「サンク・オ・ピエ」さんが開店12周年を迎えました、おめでとうございます!!
その12周年記念コース用のブレンドを作り、今朝シェフからその専用ブレンドの試飲メールが届いたので…今日は「フレンチのデザートとスペシャルティコーヒーのマリアージュの手の内明かします。」といった感じで、書いてみようと思います。<a href="http://www7a.biglobe.ne.jp/~cinq-au-pied/">http://www7a.biglobe.ne.jp/~cinq-au-pied/</a>
さかもとこーひーはホームこーひーを開店当時からテーマにして(最近はホームタウンこーひーというコンセプトも加えて、カフェのみなさんとコミュニケーションを深めていますが…。)家庭での毎日何気なく飲むこーひー、スペシャルティコーヒーの香りや味わいを集中して味わう楽しみ、手作りのケーキやパンだったりお気に入りのお店のお菓子やパンと一緒に楽しむこーひー、オフィスでリフレッシュするこーひー…そんな暮らしの中のこーひーをお届けしてきました。
スペシャルティコーヒーに出会ってからは、さらにこーひーのポテンシャルが上がって、フードペアリングとか言いますが、食事やケーキデザートとペアリングする楽しみが増えました。
たんにケーキやパンと一緒にコーヒーを飲むのでは無く…そのケーキやデザート、パンや食事がより美味しく魅力的になるようなこーひーの可能性を見つけたのです。
元々、コーヒーに限らず、紅茶やお酒、ケーキに和菓子、蕎麦にうどん、お寿司に天ぷら、フレンチにイタリアン、ワインに日本酒に焼酎にスコッチにバーボン、ジンと何でも美味しいもの大好きで…仕事としても美味しさを追いかけていますので…ペアリングとかマリアージュの魅力を進化させてきました。
で、ワインの専門家である友人のKさんが主催するワイン会をサンク・オ・ピエで開催するようになり、その素晴らしい料理やデザートの技術とセンスに出会って…そこにこーひーをコラボさせてもらうようになったのです。
そうそう、先日熊本の常連のKさんからのメールが興味深いものでした。
「 <パナマレリダ農園>で面白いペアリングがあったのでご紹介。レリダ自体は、とても薫り高く「酸」が先、「甘み」が後の感じ方をしていました。最近一緒に食べたもので、1.洋梨とキャラメルのムースケーキ2.すし飯おにぎりの「酸味」が強いものと一緒に食べた後レリダを飲むと、レリダがとても甘~くなりました。酸が調和されて、ほどよい後味になるんですね。かといって「モカ」は、単発で飲んだ方が美味しいんです。不思議なマリアージュ。これからも考えてみます。飲みながら、食べながら一休憩するのもいいものですね。」Kさん、いつも、ありがとうございます、とっても参考になります。
ご近所の常連のMさんはブログでペアリングの楽しみをアップしています。えんじょいペアリング26-(ミルクチョコがけクッキーにパナマ・レリダ農園を使ったブレンド) <a href="http://ameblo.jp/sankichi-fmrt/entry-11473830733.html">http://ameblo.jp/sankichi-fmrt/entry-11473830733.html</a>
その中に…「ペアリングでカン違いしてはいけないのは、おいしい食べ物が口の中に存在していた、という余韻を「殺してはいけない」、ということだと思います。殺すだけなら酸を強くすりゃぁいくらでも殺せますが、それじゃペアリングにならない。そうでなくて、フードの重さを「軽める」ことが大事だと思います。そのためには、コーヒーの酸の質×ボリュームを、メニューに対してバランスを取っていくことになります。そして、フードと調和するフレーバーを選び出していきます。」Mさん、いつも、ありがとうございます、色々と刺激やヒントをもらっています。
さかもとこーひーの常連さんの中には、このように好奇心旺盛に自由自在にペアリングを楽しまれている方が増えてきました。まぁ、パンやケーキを焼いたり、フレンチやイタリアンに和食とプロのように料理する人が増えていますから、きっかけ次第でスペシャルティコーヒーとのペアリングを楽しむのは当たり前と言えば当たり前で、そんなに難しいことでは無いですしね。(さかもとこーひーの常連さんにはパン教室の先生されている方が何人もいらっしゃいますから、そういった方々のご感想も楽しいです。)
で、そういった方の楽しみをリードするためにもプロのペアリング、マリアージュを今日はご紹介しましょう。
まず、今朝シェフから届いたメールです…「12周年ブレンド、今日飲んでみました。バランスの良さ、上品さ、繊細さ、単体でも美味いこーひーでしたが、ヴァローナのイヴォワールやカラメリアに良く合いました。まだ、デザート作ってないので、もとのチョコレートその物と合わせてみたんですけど、ばっちり合いました!」
今回もなんとか上手くいったようです。あと、シェフの自宅で取れたレモンを使ったフワフワでとっても酸っぱいレモンムースがあるんですが、その酸っぱさがとっても心地よいデザートで…そんなコーヒーには全く合わなさそうなデザートにマリアージュさせたこーひーをブレンドしたんです。ブレンドした豆は…パナマ・レリダ農園、ケニア・カンゴチョ、モカ・イルガチェフェで、かなりの変化球ですね。そのマリアージュの反応もとってもご好評なようで…コーヒーにも紅茶にも合わなさそうなデザートになぜかスッと寄り添い、次のひと口を誘うこーひーにみなさん驚かれているそうです。
KさんやMさんも仰ってますが…酸味がポイントになっています。みなさんに嫌われる酸っぱいコーヒーの劣化した酸味とは全く別のものです。
「コーヒーはフルーツだ!」ってさかもとこーひーが言っているように、フルーツですから、その完熟した甘さにも酸味があります。勿論、甘味とバランスの取れた、爽やかな質の素晴らしい酸味なのが前提なんですが…それでも、それぞれの豆の酸味のキャラクターや質、さらにボリュームが違います。さらに、それを生かしより魅力的にするためにも焙煎の技術があります。
(スペシャルティコーヒーで頑張っている若い人、これから独立しようと思っている人、いくら素晴らしい素材でも、焙煎を確立できなかったら全てが台無しですから…要注意です。)
で、12周年記念コースの内容は…サンク・オ・ピエ12周年記念コースメニュー「ピエール・オテイザ氏のバスク産キントア豚の肩ロースの自家製スモークハムとランド産マグレ鴨の自家製スモーク生ハム」…「ランド産鴨のフォアグラとオーストラリア産天然車海老のソテー、シードル・ヴィネガーと蜂蜜風味、リンゴのコンポート添え」…「エゾ鹿のコンソメ」…「エイヒレのポシェとキャベツのブレゼ、シェリーヴィネガー風味ベルナール・パコー風」…「ラカン産窒息若鳩のポワレ、鳩のジュを添えて」
そして、デザートが…「ヴァローナ社カラメリアのマルキーズ・ショコラ、ヴァローナ社イヴォワールのホワイトチョコレートのムースブラッド・オレンジのソース、シェフ風ラング・ド・シャ、イチゴのホワイト・バルサミコ風味」となっています。
シェフからのメールを見て、う~んこれはハードル高いぞ!! 次にゆっくりとメニューを読み込み。前菜、そしてありえないくらい繊細なコンソメ、シェリーヴィネガー効いたエイ、鳩のポワレと流れをイメージ。12周年記念だけあって繊細洗練パワーあふれてる。
デザート前で一旦まとめ。次にデザートへ。気を落ち着かせてキャラクター、触感、ボリューム、アフターテイストと整理。手持ちの豆を順番にイメージして、候補を5つ位ピックアップ。たぶんそのうち3つでいけそう。ただ、ベースにする豆の候補が3つ浮かんでいる。
サンク・オ・ピエ12周年記念コースのデザートとマリアージュをイメージしたブレンド。
カッピンググラスを用意しながら豆をピックアップ…最初グアテマラ・ラスロサス、ブラジルCOEベラビスタ、ニカラグア・プロビデンシアNW、パナマ・レリダ農園、コスタリカ・ロサンゼルス、ケニア・カンゴチョと、考えるが…豆をカッピンググラスに入れていると…グアテマラ・ラスロサス、ブラジルCOEベラビスタ、ニカラグア・プロビデンシアNW、パナマ・レリダ農園で手が止まってしまった。
で、ブレンドスタートしたら…いきなり手が勝手に動き、当初の割合とは全く違うブレンドになり。他を試すも、結局最初のブレンドに決定、一瞬でした。こういう時はなんなんでしょうね、頭で考える暇無しに手が動いてブレンドしていっちゃうんです。
「ヴァローナのカラメリア」はカラメル風味のチョコレートで、さらにカラメルを加えて、緩めの生チョコをカップに流すそうです。「イヴォワール」は、白チョコで、甘さ控えめで上品だそうです。
カラメル風味の「ヴァローナのカラメリア」にさらにカラメルを加えてのカップに流した緩めの生チョコ…ヴァローナのクオリティと緩めの生チョコは知ってますので、カラメルのバランスをイメージします。
甘さ控えめで上品なヴァローナイヴォワールのホワイトチョコレートのムースにブラッド・オレンジのソース…これもムースの触感は知ってますので、ブラッド・オレンジのソースのアクセントをイメージします。
さらにイチゴのホワイト・バルサミコ風味…イチゴにホワイト・バルサミコ? ホワイトっていうくらいなんで、バルサミコよりもおとなしいのかな? 調べるとそういった感じですね。
ヴァローナの洗練されながらしっかりとボリューム感がある魅力にはやはり隠れた酸味が活躍しています。カラメルの緩い生チョコとホワイトチョコレートのムース、ブラッドオレンジ、イチゴ、ホワイトバルサミコ…焦点が絞れて来ました。ん?全然絞れていない?
で、いつものように豆の並んでいる棚を眺めます。ただ眺めるだけなんですが、こーひーのリストの文字を眺めるよりイメージしやすいんですね。すると、候補の豆に手が伸びて行きます。あまりピンポイントで考えないで、酸のキャラクターやボリューム、甘さやマウスフィールをイメージしていると使えそうな豆が決まってきます。
そして、カッピンググラスを並べて、液体で幾つものパターンをカッピングするんですが…カッピングの準備している段階でかなり絞れてきちゃいますね。結局、4種類の豆を使って、どれがベースになるってわけじゃ無いブレンドになりました。
1月の「サンク・オ・ピエジビエ尽くしのコース、2013」の時のデザートは…「レーズンと胡桃入りのアーモンドケーキ、ノルマンディー産フローマージュブランのブルーベリーソース、グランマルニエ風味のパヴェ・ド・ショコラ」で…ブレンドは「エルサルバドル・サンイシドロ、モカ・シダモ、グアテマラ・ラリベルタッド」
12月の「サンク・オ・ピエのクリスマス・ディナー」の時のデザートは…「ヴァローナ社、グランクリュ(特級)ショコラ“カライブ”のショコラ・フォンダン、ピエール・エルメ氏の塩カラメル風味のアイスクリーム、イチゴのフィユアンティーヌ、ヴァニラのクレーム・パティシエールと小さなティラミス添え」で…ブレンドは「グアテマラCOEサンアントニオ、コスタリカCOEメルセデス、パナマ・エスメラルダ・ゲイシャ」
同じく「プレ・クリスマス・コース」のデザートは…「クレーム・ブリュレ、ヴァローナのグランクリュ・ショコラ・マンジャリの生チョコパヴェ、シェフ風フィナンシェ」で、ブレンドは「グアテマラ・アゾテァ、グアテマラCOEサンアントニオ、ケニア・カリンドンドウ」
どういう割合のブレンドなのか?って聞く質問が昔から多いんですが…実はブレンドの割合なんてスペシャルティコーヒー使った場合は聞いても意味無いんです。
コモデティやプレミアムコーヒーだったら、昔からのブラジル、コロンビア、モカ、マンデリンやらなんやらを何対何でブレンドできたんでしょうが…同じ国でもエリアで違い、農園で違い、同じ農園でもロットで違い、さらに焙煎の技術や感性、ロースティングポイントでその香りや酸のキャラクターにボリューム、甘さやマウスフィール、アフターテイストと違ってきますから、目の前の豆をしっかり掴むことからスタートするんです。
そして、飲食の体験を豊かに楽しむことでしょうねー。スペシャルティコーヒーの価値を感じて、暮らしで楽しんでくださる方は美味しいもの大好きだったり、日常の暮らしを大切にしている方が多いですから…そのような方々は飲食の体験が豊富ですからね、そういった方にスペシャルティコーヒーの魅力を届けるにはコーヒーだけ詳しくてもなかなか難しいでしょう。
アドバイスしている人達には…毎日、2種類の豆で1:1、1:2、2:1といった具合に比率を変えて、どのような違いになるか、相性の良し悪しをカッピングし、慣れたら3種類といった感じでノートに記録していくことを勧めるんですが…それを実行する人はほんと少ないです。その繰り返しによって、頭のなかでブレンドをある程度できてしまうようになるんですけどね。さかもとこーひー開店当時はとにかく暇でしたから、そんなことを繰り返して、ノートがたまっていったものでした。
(もっとも焙煎のレベルが低い豆だとあんまり効果無いですから、あまり違いが出ないで継続できないのかもしれませんね。それなら、さかもとこーひーの常連さんの方が、さかもとこーひーのシングルオリジンを何種類かストックしてあれば、いつでもオリジナルのブレンド作りができるので、楽しめそうです。勿論、坂本のアドバイスももらえますしね…。)
そんなこんなで、スペシャルティコーヒー、ペアリングからマリアージュへ…フレンチやイタリアンのデザートをさらに魅力的に盛り上げるこーひーの楽しみを広めていきたいですね。

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