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2015.08.30

プロのつぶやき810「少しマニアックな深煎り焙煎の話し」

20150830
プロのつぶやき810「少しマニアックな深煎り焙煎の話し」
まだ8月で、この辺の子供達は夏休みだというのに…一気に涼しくなって気温の変化に身体がついて行きません。35℃越えの猛暑に比べたらずいぶんと楽なはずなのに勝手なものです。
が、毎朝の焙煎は涼しくなってほんと楽になりました…エアコンはつけてますが、焙煎終わった後の着替えは必要なくなりました。焙煎スタートの投入温度は毎週高くなっていってます。
そんなこんなで…さかもとこーひーの新しい深煎り「深煎りコスタリカ」のご注文が多く…常連のみなさんが関心もってくださっているので…今日は今迄のさかもとこーひーの深煎りとは少し違う深煎り焙煎の話しをしてみます。
僕は19.20歳の頃フルーツパーラーで働きながら、毎日珈琲淹れていたのに、その珈琲を美味しく感じないで、なんでお客さんは珈琲を美味しいというのかなぁ~?と思ってたんです。
で、銀座のカフェドランブルさんに行って…はじめて珈琲を美味しいと思ったんです…深煎り珈琲との出会いでした、もう40年前になります。
その後あちこちの有名店を巡ったり…紅茶の店テ・カーマリーで最初の独立をしてからは…開店前や閉店後に手網で焙煎して自分で焙煎したコーヒーを淹れていたんです。
そうして…さかもとこーひーをスタートしたんです…浅煎り、中煎り、深煎りと揃えていましたが…基本は深煎り自家焙煎店でした。あの頃の手に入った素材レベルだと深煎りにした方が魅力的だったんだと今になると思いますね。
その頃はオリジナルのネルドリップを作るのに…平織りや綾織りのネルを取り寄せて、型紙書いて、かみさんに手縫いしてもらったり…ドリップポットの先端を自分で加工したりしてました。
開店して5年くらいすると…素材の限界を感じはじめたんです。今思えば酸の質や香り等々物足りなかったんでしょう。その頃は漠然と限界を感じていたんです。長年飲んでいたクオリティの高い紅茶やワインやウイスキー日本酒等の魅力に適わない、飲み物としてのレベルの違いを感じていたのです。
で、焙煎やコーヒー魅力の可能性をあまり感じなくなったので…陶芸などして余生を暮らそうかと思い…同級生の陶芸家の工房に通って、手捻りでぐい飲みつくったりしていたんです。
そこへスペシャルティコーヒーが目の前に現れて…農産物としての素材の可能性を感じて…それまでの自家焙煎コーヒーから一気にスペシャルティコーヒーに切り替えたのです、15年と少し前ですかね。
で、最初に印象的だったのは…ピーツコーヒーの深煎りでした。黒くなるほどの深煎りで苦味が印象的なんですが…ほんと焦げていないし、冷めてくるとそこにきれいな酸が魅力的にあって…そのような焙煎をできる素材のこと、そして焦がさずにあそこまで深くできる焙煎技術…その頃はどこをどうしたらそうなるのか見当つきませんでした。(2001年にバークレイのピーツコーヒーの工場を見学させてもらいましたが…その時ピーツの焙煎のことは分からなかったですね。今見学したら違うのでしょうけども…。)
そんな頃から15年…色々なクオリティやキャラクターのスペシャルティコーヒーの素材を経験してきましたし…ローヤル直火焙煎機からプロバット焙煎機に替えて…焙煎のデリケートな感覚を磨いて来ました。
ここ数年のさかもとこーひーの常連さんは…華やかで上品で爽やかな甘さのタイプと少し深いコクと余韻の甘さのタイプ…どちらかがお好みの方…両方をその時々で飲まれる方と…お好みが伝わって来て…素材の選び方や焙煎やブレンドによる味わいのバランスの取り方がバージョンアップしてきていると思います。
そこで…深煎り好きの常連さんと話していて…昭和の深煎り自家焙煎店とも違う、シアトル系の深煎りとも違う、スペシャルティコーヒーの新しい深煎りの魅力がイメージできてきたんです。
さかもとこーひーの深煎りは豆の色が深煎りっぽくなくてあまり黒くなっていないので…時々これで深煎りですか?って聞かれます。
それをもっと深煎りにして…ビターチョコレート色な感じのダークローストですね…勿論焦がさないのは大前提で…焦げたざらついた刺激的な苦味とは全く違う…柔らかで円やかな苦味…冷めたら隠れながらもきれいな酸が味わいを高めて…香りが余韻に漂う…そんな魅力にしたいと思いました。
そのための焙煎のポイントは…2ハゼからの火力のバランスだと思いました。火力を抑え気味にしてじっくりと深く焙煎する考え方もあります…いつものワイン会が昨晩あって「深煎りコスタリカ」持って行き、食事の最後にサンク・オ・ピエのシェフに淹れてもらったのですが、一緒に参加した同業の友人は帰り道に火力抑え気味ですか?って聞いて来ました。
常連のMさんがTwitterで…「その「深煎りコスタリカ」ですが、さかもとこーひーの新境地ですねー。深煎りの香ばしさを前面に出しつつ、コスタリカ・ロサンゼルスらしいフローラル、甘さを両立している。サンクオピエ中村シェフの焼いた肉の魅力に通じるものがあるかな。」…と、ご感想書いてくれました。
シェフは「Mさん上手いこと言うな!!」って言って…ワイン会主催してくれているKさんは「ドライな感じがいいですよね、きれいな味わいがいいし。」…とダークローストのキャラがありつつ、華やかさや心地よい甘さはきちんと…そんな魅力が伝わったようです。
そうそう…ようは火力なんですが…通常のさかもとこーひーの深煎りよりも深煎りの段階の火力を少し強めています。が、ほんの少し強いと焦げてしまいます。このバランスなんですが…結局カッピングで判断するしか無いですね。あとは素材選びです…なんでもその焙煎をすれば魅力的になるかってことでは無いので、素材を見極める力が必要です…これもカッピングですね。
この「深煎りコスタリカ」のようなこーひーはブレンドのベースにすると新たな可能性感じますので…最初に浮かぶのは「深煎りコスタリカ」に「エチオピア・モカナチュラル」ですねー…あと、パカマラも面白そうですし…まぁケニアとかグアテマラでも可能性あると思います…そういったのもも楽しみです。
写真のデザートはシェフの自家菜園のブルーベリーのソルベとパウンドケーキ…こーひーはサンク・オ・ピエ8月9月コース用のブレンドで…ボリビア・アルベルト、ニカラグア・エンバシー、ブラジルCOEカパハオをブレンドしたんですが…とっても上品なブルーベリーのソルベとパウンドケーキなんですが、柔らかな感じにしっかりとブルーベリーのきれいな味わいがあって…ほんと当たり前のように自然に合っていました。
このデザートの前が…カリフォルニア、ゴールデンアイの親元ダックホーンの甘口ソーヴィニヨン・ブランにはロックフォールとクリームチーズを合わせたもので、間違いの無い相性の良さにご機嫌でした。
そんな最後を仕上げる「深煎りコスタリカ」もなかなか上手くいって…ふらふらと帰ってきた夏の終わりの夜でした。
さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。

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