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2016.03.27

プロのつぶやき840「エチオピア・モカナチュラルの可能性」

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プロのつぶやき840「エチオピア・モカナチュラルの可能性」
3月が終わるのに…千葉は冷え込んで、それなのに花粉は飛んで…寒くて花粉症が不快という困った陽気です。
月曜日は千葉市内での…主催本町厨房哲流さん、千葉市中央バーアレックでのブレバタ岩沢幸矢、徳武弘文、鈴木雄大のライブに行ってきました。僕より先輩の世代で長く活躍してきたお三方のライブ…幸矢さんの歌徳武さんのギターが最高で…さらに飛び入りの幸矢さんお嬢さんAisa徳武さんの息子孝音の歌とギターが素晴らしくて、ご機嫌に帰りました。いいライブでしたー。
特に、お嬢さんAisaさんが歌は上手いわ、可愛いわ、パワーいっぱいで一瞬でファンになってしまいました。Facebookでそれをアップしたら、古い友人がAisaさんのデビューアルバムに関わっていたそうで…アルバム制作の時のエピソードを聞いて…親世代から若い世代への成熟を実感しました。
この4月で喫茶の仕事に就いて42年?になりますが…40年前と今では音楽でも飲食でも成熟の違いを感じています。勿論、表面的に目立ったりしているものは浅薄なものがありますが…それは何時の時代でも似たようなもので…マイナーなあまり表に出て来ないところでの厚み深みは時間をかけて出来上がっていくものだと思いますね。
それは提供する側と、楽しむお客の側と…ラリーを繰り返すことで成熟していくものだと思います。
そんなこんなで…昨晩はサンク・オ・ピエの15周年記念コースにワインを合わせた…いつものKさん主催のワイン会でした。
デザートが…ヴァローナ、グアナラのガトーショコラ…ヘーゼルナッツのアイスクリーム…イチゴのムース…だったので、このコース専用のブレンドはあるのですが…もうひとつ何かこーひーを合わせたいなと思い…「エチオピア・モカナチュラル」を持って行きました。
グアナラはヴァローナの一番カカオ分が多いものだそうで…そのカカオ感やヘーゼルナッツのナッツ感に「エチオピア・モカナチュラル」の個性的で豊かな香りや味わいがどういったバランスになるか試してみたかったんです。
ナチュラル式の豊かなマウスフィールや深い味わい…余韻のきれいなベリー感…フローラル感…イメージ通り上手くお互いが引き立て合っていました。
「エチオピア・モカナチュラル」はナチュラル式でもとってもきれいなクオリティなので…繊細なイチゴのムースにも寄り添って…これからの可能性を感じることが出来て、ひとりニヤニヤしてしまいました。
スペシャルティコーヒーの楽しみの可能性がひろがっていきますね。
それにしても…15周年記念コースのひと皿ひと皿の完成度の高さ、きれいで豊かな魅力…ワインと合わせた魅力…千葉の片隅の小さなレストランで堪能できる時代になったことに、この40年の成熟を感じるのでした。
エゾ鹿のコンソメドゥーブルとシャトーシャロンの味わいの変化は勉強になりましたね…シャトーシャロンは7年間以上補填しないで熟成させたものだそうで…シェリーに近いのですが酒精強化していない分繊細で…コンソメをひと口、豊かな味わいにうっとり…シャトーシャロンをひと口、あれ!!その独特の酸がコンソメをさらにキレ良く上品に感じさせて…次のコンソメをひと口、うん?シャトーシャロンがグッと馴染んできて…その繰り返しをひたすら楽しんでいました。
Kさんの話しでは…コンソメにシェリーの相性の良さがあるので…その延長でイメージしたようですが…エレガントのひと言がぴったりなエゾ鹿のコンソメドゥーブルが最後の最後に野生のパワーを見せてくれて感動的で…シェフとKさんのラリーを楽しみました。
さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。

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2016.03.20

プロのつぶやき839「パナマ・レリダ、エチオピア・モカナチュラル、ニカラグア・ラ・コパ」

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プロのつぶやき839「パナマ・レリダ、エチオピア・モカナチュラル、ニカラグア・ラ・コパ」
日に日に春を感じています、もうすぐ桜が咲き誇りますね…同時に花粉も多くなってきて困ったものです、みなさん、くれぐれもご自愛ください。
先週、プライベートで大分と福岡に行ったんですが…先月仕事で行った博多の16区というケーキ屋さんでお土産に買って来たダックワーズが大好評で…今回も女性スタッフからのリクエストで又買って来ました。
ダックワーズにショソンオポムというアップルパイです。そのショソンオポムのパイの繊細な触感、豊かな風味、リンゴの酸と甘さのバランス、30分経っても心地よい余韻と香り…バルミューダのトースターで軽く温めて頂いたのですが…シェフのこのショソンオポムに込めたイメージが伝わって来て、みんなで感動しました。今度はブルーベリーのパイの季節だそうで…今から楽しみにしています。
そんなこんなで…春にお勧めのこーひーを3つご紹介いたします。
ジャスミン系フローラルが素晴らしい、毎年人気の名門農園「パナマ・レリダ」…去年ご紹介してご好評頂いた、ナチュラル式の豊かな香りや甘さが素晴らしい「エチオピア・モカナチュラル」…爽やかな香りと味わいの訪問農園「ニカラグア・ラ・コパ」です。
【パナマ・レリダ】
フローラルな素晴らしい香りと柔らかな口当たり、優しい甘さと余韻…春にぴったりな「パナマ・レリダ」です。
パナマこーひーと言えば「パナマ・エスメラルダ・ゲイシャ」が有名ですが…それ以外にも「ベストオブパナマ・アルティエリ」「パナマ・ベルリナ農園」「ベストオブパナマ・カフェランダウ」等々いくつものパナマの素晴らしいこーひーを今迄ご紹介してきました。
それらのこーひーはパナマ共通の魅力で…口当たりの柔らかさと繊細さに上品な甘さが素晴らしいと思います。優しいだけで無く、滑らかと共に、フルーティな甘さが素晴らしいですね。
復活してご紹介できるようになって3年目の「パナマ・レリダ」…さかもとこーひーがスペシャルティコーヒーに取り組みだした初期の頃にお届けして、とってもご好評いただいた農園なんです、もう10年以上前になるでしょうか。
まず、素晴らしい香りですが…ジャスミンな感じのフローラルにフランボアーズな感じもおいかけてとっても魅力的です。そこに、ジューシーな味わいが甘さと一緒に感じられます。ピーチやベリー、オレンジとフルーツ感が印象的ですね。
バランスの良いやさしい甘さが長く続きますが…余韻に柑橘系の煌めきがあってそれが爽やかさやキレの良さを引き立てていますね。
3年目の「パナマ・レリダ」はますます際立っているように感じました。ピーチやフローラル感は勿論のこと…生き生きとした味わい…口当たりの滑らかさ繊細さ…冷めてからの優しい甘さがより際立って魅力的だと思います。
品種: ティピカ、カツーラ種
栽培地: ボケテ地域 北西部
標高: 1,600~1,700m
収穫時期: 1月から3月
生産処理: 水洗方式(FW )、天日乾燥
ゲイシャ種で最近話題のパナマですが、パナマのコーヒーはその甘い風味で日本の消費者に親しまれてきました。コスタリカ国境沿いのボケテ地域は、コーヒー生産で最も有名な地域です。花卉栽培が盛んな同地域は、気候が良く、近年欧米からの観光客が増加しており、レリダ農園など、コーヒー農園内にホテル(ロッジ)を併設しているところがあります。また最近同地域内では宅地化が進んでおり、コーヒー栽培が難しい環境にあります。元来生産量がコスタリカの一か月分といわれ、生産量が少なく、品種、処理方法、マイクロロットなど個性と品質で勝負というのが最近のパナマの傾向です。
レリダ農園は、パナマで最も標高の高い、素晴らしい生産環境に恵まれた農園の一つです。この農園で素晴らしいコーヒーが出来ないわけがないと関係者からいわれていた程です。2001年のベストオブパナマ品評会で見事優勝、その後数回の入賞を経て、高品質コーヒーを産出する農園として認知されてきました。しかしながら2000年代後半、経営上の問題から品質が低下し、市場から姿を消しました。2011年より新しいオーナーによる経営がスタートし、農業技師を招き、新しい生産体制が始まり、農園内のホテル、レストランもリニューアルオープンしました。
新しい体制でスタートした中で、農園内の区画に着目、セレクトされましたのが、このマイクロロットです。元来レリダはパナマの甘さに、柑橘系の酸がある素晴らしいコーヒーですが、このマイクロロットは農園内の標高の高いところで生産されたものですが、非常に強い果実味が感じられる個性的なロットです。今後も続くレリダ農園の新しいプロジェクトにご期待下さい。
2000円/250gパック(税抜き)
【エチオピア・モカナチュラル】
少し深煎りにしたモカ・イルガチェフェのナチュラル式こーひーです。ナチュラル式は収穫した実を剥かずにそのまま乾燥して仕上げるもので…豊かな甘さや味わいに魅力があります。さかもとこーひーのナチュラル式こーひーは…ブラジルでご紹介していますがとっても人気です。
ただ、水流等を使った選別が出来ないので…徹底した選別をしたナチュラル式でないと使えません。なによりも雑味等が無いきれいな味わいは基本で譲る事はできません。
以下資料からの説明にも…「近年スペシャルティコーヒーの世界では、ナチュラルのコーヒーに注目が集まっております。しかしながら、それは、以前のような過熟や汚れのあるものではなく、クリーンさのあるナチュラルです。このイルガチェフ・ナチュラルG 1は通常ならばウオッシュドとなる高品質チェリーを特別にナチュラルに仕上げて頂きました。
赤い実を搬入する生産者に割増しの賃金を払い、より品質の高いコーヒーの生産に取り組んで頂いております。集められたチェリーはアフリカンベッド上で、未完熟、未熟なチェリーを徹底的に除去し、乾燥させていきます。更に乾燥後、脱穀された生豆は、機械選別後、ハンドピックにより選別され、高品質ナチュラルコーヒーが完成します。方法はシンプルですが、人の力が品質に大きく左右します。 クリーンなベリー風味のナチュラルをお楽しみ下さい。」
…とありますように、ナチュラル式であっても、素晴らしくきれいな味わいが、ナチュラル式モカの個性をより魅力的にしていると思います。
その「エチオピア・モカナチュラル」ですが…まずは少し深煎りに仕上げた豊かな香りが印象的だと思います…ブルーベリーやカシス…そして赤ワインからチョコレートの感じ…味わいは甘さから円やかな口当たり、さらに長く心地よい余韻…勿論汚れの無いきれいな味わいです。
冷めてゆっくり味わうと…ローズ系フローラルのキャラクターが感じられたり…バニラやミルクチョコレート…最後にはスパイシーさも出て来て…素晴らしいモカ・イルガチェフェのナチュラル式の魅力を発揮しています。余韻の鼻に抜ける素晴らしい香りに「モカ・イルガチェフェ」の魅力を感じるでしょう。深煎り好きの方には勿論ですが…この上品な味わいと香りはさかもとこーひーの常連のみなさんにお勧めしたいと思います…お楽しみください。
品 種: エチオピア系統品種
栽培地: イルガチェフ地域
標 高: 1,600m以上、2,000m付近の小規模農家も存在。
収穫時期: 11月下旬より1月頃まで
農 園: イルガチェフの小規模農家   グレード:G 1
アラビカ種発祥の地であるエチオピアの南西部ジマ地方には、現在でも多種の品種が自生しているといわれ、貴重な遺伝資源の宝庫となっています。有名なゲイシャ種もこのジマ地方が由来といわれています。
エチオピアのコーヒーの中で、風味上最も特徴的なものは、イルガチェフそしてシダモのコーヒーです。フローラル、紅茶、レモン、エレガント、ジンジャー、シナモン等多様な風味を有しております。ゲイシャが話題になったのも、エチオピア系コーヒーの風味がスペシャルティコーヒー産業にお
ける価値のあるものであるからです。
イルガチェフとは、現地の言葉で「湿地とその草」を意味します。その言葉の通り、この地域は水源に恵まれ、良質の水洗式コーヒーの生産に適した場所です。更には1,600m以上、高いところでは、2,200mにもなる栽培地の標高、なだらかな景観、昼夜の寒暖差、生産性は低いですが、中米のティピカ種同様に若葉がブロンズで、横に枝が大きく伸びる古いタイプの品種、有機質肥料(コーヒー由来の廃棄物、家畜の糞尿など)、肥沃な土壌など、コーヒー栽培に適した土地ということができます。
現在エチオピアでは、国営などの農園(比較的大きい)、農協など一部の例外を除いては、EC Xと呼ばれる取引所にコーヒーを納めなければなりません。イルガチェフの場合、EC Xに搬入されたロットは、地区やグレードにより分類されますが、基本的にはロットが混ざることになります。これが品質安定しない原因です。
近年スペシャルティコーヒーの世界では、ナチュラルのコーヒーに注目が集まっております。しかしながら、それは、以前のような過熟や汚れのあるものではなく、クリーンさのあるナチュラルです。
このイルガチェフ・ナチュラルG 1は通常ならばウオッシュドとなる高品質チェリーを特別にナチュラルに仕上げて頂きました。赤い実を搬入する生産者に割増しの賃金を払い、より品質の高いコーヒーの生産に取り組んで頂いております。集められたチェリーはアフリカンベッド上で、未完熟、未熟なチェリーを徹底的に除去し、乾燥させていきます。更に乾燥後、脱穀された生豆は、機械選別後、ハンドピックにより選別され、高品質ナチュラルコーヒーが完成します。方法はシンプルですが、人の力が品質に大きく左右します。 クリーンなベリー風味のナチュラルをお楽しみ下さい。
2000円/250gパック(税抜き)
【ニカラグア・ラ・コパ】
すっかりお馴染みとなった、訪問農園のニカラグア、セルヒオさんの「ニカラグア・ラコパ」です。その栽培精選の徹底ぶりからくるきれいな味わい、華やかなキャラクターのこーひーです。ニカラグア・カサブランカ農園内の1400-1500mの特に高地エリア限定ロットです。
まずは、徹底した選別からくるクリーンさがより際立っています。滑らかな口当たり、華やかな魅力、余韻の心地よさ…オレンジ系フローラルさも素晴らしく、そこにシトラスな感じがあってより魅力的になっていると思いました。
冷めてからの心地よい口当たりと華やかな印象に…白ワインのキャラクターが滑らかな触感と重なり、この「ニカラグア・ラコパ」の素晴らしい魅力が伝わってきます。どなたにもお勧めできる華やかな香りと、バランスの良い味わいと甘さです。華やかな香りと円やかさが加わった味わいをお楽しみください。
農園を訪れた時の…朝の日射し、吹き抜ける風の気持ち良さ、触った土の感触を思い出します。土壌の豊かさの大切さは勿論ですが…午前中の日当りや風の通り抜け具合が栽培には大切なんですが、高地エリア限定ロットでとても良い環境のエリアでした。
朝6時頃ラコパ農園の山頂に立ち…東からの朝日をたっぷりと受け風通しの良い斜面…そこから山の麓の方へ下っていくと、日当りが変わり、風の通りも変わり…さらに下ると湿気を感じるようになりました。
勿論、ニカラグア・ラコパはその斜面の高地エリアだけの素晴らしいロットです、お楽しみください。
農 園 名: カサ ブランカ (ラ・コパ地区)
エ リ ア :ディピルト・ヌエバ・セゴビア
生 産 者: セルヒオ・ノエ・オルテス
プ ロ セス: フリーウォッシュド
品 種 :カトゥーラ
標 高 :1,400m~1,500m
カサ ブランカ農園は、ニカラグアの北西部のホンジュラスとの国境に近い、崖と谷が入り組んだ山岳地帯に位置します。農園を少し奥にはいると、バナナ、グアバなどのシェードツリーが覆い茂っており、リリオと呼ばれるピンクの小さな花がいたるところで咲いています。 また、さまざまな昆虫、野鳥も生息しており、夜になるとサル、キツネ、シカ、ティピクインテ(ヒョウ)などが活動を始めます。豊かな自然資源を保護し環境と調和しながらコーヒーを丁寧に育てております。 なかでもラ・コパ地区は、1,400m~1,500mと、この農園で最も標高の高い地域で生産されています。カサ ブランカ農園は、COE(カップ オブ エクセレンス)に2003年、2004年、 2005年と3回入賞しています。
1500円/250gパック(税込み)
さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。

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2016.03.13

プロのつぶやき838「おいしさに必要なこと」

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プロのつぶやき838「おいしさに必要なこと」
暖かくなったと思ったら…又冷え込む1週間で…寒いわ花粉は多いわで往生する毎日です。
先日、お昼で早退して…新潟へ行き、はじめての夜行バスで帰ってきて、翌日通常通り仕事したんですが…バスの時間までに夜遅く迄開いているお蕎麦屋さんを見つけて、沖漬けにのっぺで八海山を呑み、仕上げにへぎ蕎麦を頂きました。
最初、いつも蕎麦を食べる時のように蕎麦を3本4本すくって汁にちょっとつけて食べたらバランス悪いんですね。で、小皿に山葵とさらし葱があったんですが…その葱が山盛りなのに気がつき…葱をいっぱい汁に入れ、蕎麦をごそっとすくって、ドボッとつけて食べたら…う~~ん、美味しい!!…Facebookでへぎ蕎麦はそういうものだとコメントもらって、納得でした。
新潟に行ったのは、達郎の40周年記念ツアーの為なんですが…ツアー再開して8年、回を追う毎にチケットが取りづらくなって、新潟でやっと1枚取れて年甲斐も無く強行軍で行ってきました。
前回の神奈川県民の時に…軽快なリズムのイントロから…「たくさんのペイントを空にむけ撒き散らすと♪」…と「DAYDREAM」がはじまると鮮やかに新しいブレンドのイメージが浮かんできたんです…今回の新潟で又「DAYDREAM」をご機嫌に聴いていたら…新しいブレンドの候補の豆が絞れて来たので…4月には発売できそうです。
そんなこんなで…新潟への行き帰りで…「おいしい」のマーケティングリサーチ(高垣敦郎著)を読みました。高垣さんは、ハウス食品で調査やお客様生活研究センター長を勤められた方で…今は定年退職されて、食とリサーチのコンサルティング会社を設立し…新食品開発のためのリサーチや若手のマーケティングリサーチ研修を実践されているそうです。
プロのつぶやき836「サンク・オ・ピエ15周年記念コース専用ブレンドの作り方」の中で…「コーヒーの科学」(旦部幸博著)の話しから…1980年代にバッハコーヒーという業界の有名店の田口さんが「よいコーヒー、悪いコーヒー」という考えを広め…うまいまずいは相対的なもので…個人の主観的な嗜好の問題でもあり…客観的な評価が成立しにくいというものでした。
「コーヒーの科学」の中にも「一般消費者」という言葉が出て来ますが…「一般消費者」にとっての「美味しさ」と…「自店の特定少数の顧客」にとっての「美味しさ」は違うと考えて…さかもとこーひーの特定少数な顧客向けならば、人それぞれの好みを超えた美味しさを届け、共有できるのではと考えてきた23年なんですが…この「「おいしい」のマーケティングリサーチ」でも…一般消費者コンシューマーにとっての「おいしさ」を求め、そのためのリサーチについて書かれています。
当然ハウス食品はマスマーケット向けのメーカーですから…うまいまずいは相対的なもので…個人の主観的な嗜好の問題でもあり…客観的な評価が成立しにくいという問題があります。
しかし、そこからのリサーチによって「おいしい」をビジネスにしてきたわけです。
で、印象的だったことは…「食べることは、幸せに生きることと密接に結びついている、だから、一般的な製品のマーケティングリサーチとは少し違う」といった食べること、おいしさの基本からスタートしていることでした。
リサーチには…定性(質、性質、特性)調査と定量(具体的な量、数値情報)調査…があると最初に説明されていますが…これは、さかもとこーひーが開店以来力を入れてきたことで…定量的なデータはずーっと何がどう売れて、何がどう売れないのか数字で追いかけています。
しかし、それはあくまでも結果でしか無いので…まださかもとこーひーに無い商品やおいしさに常連さんの求めている魅力があるかもしれませんので…定性的な情報にポイントを置いています。
それは、メールでのコメントだったり、おゆみ野店での会話だったり、こーひーレッスンでの雑談だったり…勿論、こーひーに対するご感想は大切ですが…それ以外の日常的な話しによって、お客様の暮らしを理解するようにしているんです。
本の中にも…「全ての基本はお客様を正しく理解すること」…「第一歩は自分を知る、そして自分の家族を知ることから
周囲を観察する」…「仮説無くしてリサーチ無し」…といった共感することがいくつもありました。
「お客様の声から、充足していないニーズとは」…「食べると自然に笑顔になるおいしさ」…「本当に心から家族や知人に伝えたいと思えるような、自分自身が感動するようなおいしさ作りが求められている」…「お客様のポジティブな体験情報」…と、拾い上げてくると…マスマーケット相手の大きな食品会社がしていることも…さかもとこーひーのような限られた常連さん相手のおいしさを目ざしている店も…基本は一緒なんだなぁーと納得しましたね。
おいしさの理解ということでの…「本質的なおいしさ味覚」…「アタマ的おいしさカラダに良い機能性、理屈に合う納得性」…「ココロ的おいしさファッション性、新奇性、情緒性」…このような色々なおいしさについても同じです。
こういった話しは…ほんと、コーヒー業界には無いもので…産地の話しや淹れ方の話しは豊富ですが…おいしさの理解が浅いように感じています。
日本スペシャルティコーヒー協会のスペシャルティコーヒーの定義の最初に…「消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。」とありますが…スペシャルティコーヒーにおいても消費者コンシューマーの美味しさを定義しています。
さかもとこーひーは…「美味しさはあるものじゃ無くて…感じるもの」だと思っているので…これからも、お客様のおいしさを知り、自分のおいしさを知って…いつも通りの安定したおいしさから…今迄になかったおいしさまで…「自然に笑顔になるおいしさ」をお届けしていこうと思いました。
さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。

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2016.03.06

プロのつぶやき837「個人店の脆さと強さ」

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プロのつぶやき837「個人店の脆さと強さ」
週末から朝6時に店に来た時の室温が10℃を超えて来ました。焙煎の温度や火力の真冬バージョンがおしまいです。まだ朝冷え込んだり、暖かだったりしますので…油断できません。
毎年のことですが…季節の変化をこんなところで一番感じています…そう、それと朝の明るさですね…玄関出た時に明るいのはいいものですね。
店の前のミモザが可愛く咲いてきています…「春ねー♪」といった声を常連さんからよく聞く季節ですが…「梅や河津桜だけでなくコーヒーでも春を感じられるなんて幸せですよね。」とご注文メールにコメント頂き、日本のコーヒー屋としてとっても嬉しい!!
そんなこんなで…先日サンク・オ・ピエのシェフがひと月前から予約あった4名が連絡無しでキャンセルになったと憤っていました。電話すると…ガチャッと切られたそうです。
ちょうど15周年を迎えたサンク・オ・ピエですが…そういったことは普段ほとんど無いそうなのでその気持ちの持って行き場が無かったでしょう。
その4名分の料理や売り上げが台無しになるのは勿論悔しいことですが…その4名で満卓だと予約をお断りしているお客様がいたので、そのお客様にも申し訳ありません。テーブルサービスは満卓がありますからね。
と、同時に、いやそれよりも残念なことは…お店は店主だけで作っているのでは無いってことです。店主のやる気エネルギーは勿論ですが…スタッフの協力…素材の生産者のちから…そして、何よりもお客様と一緒に時間をかけて…その店の魅力が出来上がっていくんだと思ってます。料理と食事のひと時が一体となった魅力ですねー。
その時間をかけて作って来たものをないがしろにされたやりきれない気持ちを感じたのです…次のお客様に気持ちをリフレッシュして、その一度落ちた集中をいつものように上げなければいけないのですが…これがけっこうエネルギー取られますからね。
達郎のコンサートのパンフレットには…何十年も前から必ず…コンサートは演者と観客、スタッフで作って行くもので…なによりも観客のみなさんの協力が大切ですといったようなことが書かれています。
志の輔師は…人情話を30分40分以上かけて作り上げ、観客も集中し、さていよいよという時に携帯が鳴ったら、一瞬で現実に戻ってしまい台無しになると言っていました。
個人のお店というのは、そんなコンサートや落語と一緒で…とても脆いものなんです。お金払えばいいってもんじゃ無いんですね…それは不特定多数のお客相手の大きな企業やチェーン店の話しだと思ってます。
個人店でもひとつ当てて店舗拡大していこうというタイプならまだしも…サンク・オ・ピエやさかもとこーひーは自分の基準に合わない仕事はしない…まぁ、お客さんからは頑固と言われますが…納得の仕事して、家族が食べられて、長く常連さんに喜ばれる、そんなスタイルの店なんですね。
先日、こーひーレッスンに来られた男性から…「さかもとこーひーのネット通販は、広告とか何かしているのか?」と聞かれましたが…ネットの広告もSEO対策も何にもしていませんと答えました。セールもキャンペーンもほとんどしないですしね。コーヒー特集の本や雑誌、業界誌にも最近全く出ていないですし…取材も無いですけど、取材あっても受けるかどうか。
それでも、お陰さまで23年経っても毎年微増でお客様が増えています。
ここ数年、同業の若い人や市内の異業種の若い店主をサポートしていますが…それは地域に魅力的な個人店があるとなんかその地域の暮らしが魅力的心地よいものになってそんな豊かさがいいなーと思うからです。
全国色々な業種でチェーン店が拡大し…それはそれで便利で僕も日常的に使っていますが…同時に魅力的な個人店もあるといいなーと思うのですが…それぞれの業種で10年20年と修行して、思い切って独立しても、現実としてなかなか長く続けられる店は少ないものです。
技術よりも商売にウエイトかかっているタイプは良いんですが…技術優先のタイプはなかなかハードル高いんですよね。専門的な技術はあっても、その技術を活かす経営者の自分が未熟なんですね…これは、独立した頃私自身が身にしみたことです。
その店に魅力を感じてくれる常連さんがひとりひとり増えていけば…大儲けは出来なくても、地域に必要とされ長く続く店になれます。そこには店と常連さんで作り上げた魅力と強さがありますが…それは、とても脆いもので心ない一部の人によって崩されてしまう危険性を孕んでいるものなのです。
それには…不特定多数の一般消費者を相手にしないで…特定少数の常連さんを大切にしていくことだと思ってます。勿論、排他的になるということではありませんが…。
さかもとこーひーは「部屋中にひろがる香りと後味の美味しさ」を大切にしています。

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